TOYOTA GAZOO Racingの村田久武レーシングハイブリッド・プロジェクトリーダーは、第85回ル・マン24時間耐久レースに3台目のトヨタTS050ハイブリッド投入は“無駄になってしまった”と振り返った
2017年シーズン、ル・マン初制覇を目指し必勝体制を敷いたトヨタは、初の3台体制で参戦。追加した9号車トヨタのステアリングをニコラス・ラピエールとホセ-マリア・ロペス、国本雄資の3名に託した。
しかし、その9号車トヨタは決勝スタートから10時間が経過した1時13分、ラピエールのスティント中に1コーナーでLMP2クラスの25号車オレカ07・ギブソンと接触し左リヤタイヤがバーストしてしまう。
ラピエールはマシンをピットに戻そうと走行を続けるが、切れたタイヤがマシンを叩き、リヤエンドから出火。9号車はアルナージュ立ち上がりで一度ストップする。
ラピエールは何度か9号車を再起動させピットに戻そうとしたが、ピットまであとわずかというところでコクピットを下りてリタイアとなった。
村田プロジェクトリーダーは「(結果的に)9号車はもったいない結果になってしまいました。(ラピエールは)プッシュする必要のないところでプッシュし、追突されてしまいました」とコメントする。
「もし9号車が最後まで走りきれていれば、優勝を手にしていたかもしれません」
「また、今年のLMP2マシンが速すぎることも一因かもしれません。ドライバーへの負担を考えると、今年のLMP2クラスの速さは参戦するドライバーたちの力量を越えていると思います」
9号車トヨタがリタイアする直前には、レースをリードしていた7号車トヨタがクラッチトラブルでリタイア。これはLMP2ドライバーが紛らわしいジェスチャーでドライバーを混乱させたことが発端とされている。
残る8号車トヨタは、レース開始から8時間経過目前のタイミングでフロントモーターとバッテリー交換のため緊急ピットイン。2時間近くをピットで過ごし、総合8位でチェッカーを受けた。
「たくさんのマシンがコースアウトし、イエローフラッグやスローゾーンも頻繁に発動されました」と村田テクニカルディレクター。
「我々は(スローゾーンを想定した)テストを頻繁に行ってこなかったので、そこで何かが起きた可能性もあります」
「昨年悔やしかったのは、すべてがうまくいけば勝てるかもしれないと信じていたから。それに対して今年は勝てるマシンがあると分かっているのに勝てなかったことが悔しいです」