大きな規定変更が行われた2017年シーズン。ワイド&ローとなったマシンのトレンドで面白いのは、ノーズ形状が大きく2種類のアプローチに分かれたこと。それぞれここでは、細いスマートノーズを小指型ノーズ、ぼってりとしたノーズを親指型と呼ぶことにしてみよう。
とは言いつつも、今季のトレンドとは言っても小指派ノーズはメルセデスとトロロッソの2チームのみで、他のチームはやや変形があるものの、おおむね親指型が主流。この2つのアプローチの違いはもちろん、エアロ効率の考え方の違いであって、どちらが正解かは難しい。
事実、現在ランキングトップを走るフェラーリは親指型で、メルセデスは小指型。そして両者のパフォーマンスはきわめて拮抗している状況。それでも、開幕後のラウンドで最も高速サーキットとなるモントリオールでは何らかの答えが見つかるかも……とは思ったものの、結局、大きな変化はなかった。
今季のメルセデスW08はバルセロナから小指ノーズをさらに細くしたが、さらにはノーズ下部にイカヒレのようなエアロパーツをつけてしまったので、小指型ノーズの利点が若干、あやふやになってしまった。
一方、親指ノーズの多くは幅広く設定された2枚のウイングステーがそのままバージボード化し、ノーズ下にトンネルを造り出す構造を採用している。ウイングプレート後方のエアロの流れを、フロア下へ導くための入り口になっているのだ。
小指型はこのステートンネルがほとんどなく、その替わり、ノーズ下は後方に持ち上がる二重あご的ブリスター形状を採用している。
これは細いノーズ先端で起きる渦流を、ノーズ下に効率良く導くための手段だ。小指型のメルセデスとトロロッソが偶然、ノーズの先端だけでなく、サスペンションのアップライト部にも両者供にサスペンション・アウターマウント位置を高く持ち上げているデザインを採用しているのが面白いところだが、果たして、小指型、親指型の正解は……?