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ル・マン:7号車トヨタのリタイアは、LMP2ドライバーの紛らわしい“仕草”が発端か

2017年06月21日 18:42  AUTOSPORT web

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7号車トヨタTS050ハイブリッドがクラッチトラブルに見舞われた要因は、LMP2ドライバーのある“仕草”が原因と報じられた
第85回ル・マン24時間耐久レースで、総合首位を走っていた7号車トヨタTS050ハイブリッドに発生したクラッチトラブルの発端は、LMP2クラスのドライバーが紛らわしい振る舞いをしたことだと報じられた。

 予選でコースレコードを塗り替え、決勝ではスタートから10時間時点で総合首位を走っていた7号車トヨタは、現地0時19分に導入されたセーフティカー終了時にクラッチトラブルが発生。ポルシェカーブでストップしリタイアを余儀なくされた。

 このトラブルはセーフティカー導入中にクラッチがオーバーヒートしたことが原因とされ、その発端は小林可夢偉がマイク・コンウェイからステアリングを引き継ぎ、ピットレーン出口でストレートを通過するのを待っている際に起きたという。

 ピット出口で可夢偉がマシンを停めていると、マーシャルらしき人物が近寄り、ピットレーンを出るよう促すようなジェスチャーをみせる。これを見た可夢偉はマシンを動かすが、直後に無線で停止するよう指示された。

 この一連の動作がクラッチのオーバーヒートを引き起こし、その結果、セーフティカー終了後の1周目でマシンをストップさせることになったという。

 チームのテクニカルディレクターであるパスカル・パセロンは「カムイはマシンをスタートさせるためにエンジンとクラッチを使わなくてはいけなかった」と説明する。

「TS050ハイブリッドのクラッチは、こういった用途を想定していない。2~3回スタートさせ(るのに失敗して)、クラッチがオーバーヒートしてしまった」

 なお、この紛らわしいジェスチャーを行った人物は、LMP2クラスを戦うビンセント・カピライアであると判明済み。カピライアが所属するアルガルベ・プロ・レーシングはピットレーン出口付近のガレージを使用しており、可夢偉が停車していた場所の近辺に位置していた。

 カピライアは「土曜日のナイトセッションの時、僕はヘルメットを被ってドライバー交代の準備を整えていた」と自身のFacebookに当時の状況を投稿している。

「レースをリードしているマシンが、(ピット出口の赤信号により)目の前で停車していて、エールを送りたかった。自然と応援したい気持ちが沸き起こったんだ」

「あのジェスチャーに対し、スチュワートから罰金を課された。不適切な振る舞いだったし、後悔している」

■ドライバーからは“誤認識”を擁護する声。「手振りで“OK”と指示されたら走り出す」

 バセロンは、トヨタが長い間待ち望んでいた勝利を手にするチャンスを逃すことになった行為について、カピライアからの謝罪を望むとフランスのL'Equipe紙に対してコメントしている。

「彼の行動に悪意がなかったことは理解しているが、自分がとったジェスチャーがどのような結果をもたらすかについて彼はまったく考えなかったようだ」とバセロン。

「少なくとも彼が謝罪に来ることを望んでいる。今の時点では行われていないがね」

 LMP2クラスの26号車オレカ07・ギブソンをドライブするロマン・ルシノフも、可夢偉がカピライアをマーシャルと勘違いしたことへの理解を示し、自身も予選セッションで同様のケースがあったと明かしている。

「手振りで“OK”と指示されたら、我々は走り出す」とルシノフ。

「コクピットからの視界は、かなり制限されている。赤信号で停車中に誰かが動き出していいという仕草をしたら、それに従ってしまう」

「信号が故障していて赤から変わらない可能性だってある。誰がそんなことを把握できるだろうか」