普段、仕事では社内外とメールでやり取りしていても、プライベートではメールを使わないという人も多いのではないだろうか。事実、若者の間では近年「メール離れ」は急激に進んでいる。
メールの利用者率が高いのは30代以上の世代のみ
総務省が2016年に発表した調査によると、10代、20代のうち、平日にメールを使う人の割合は、それぞれ25.2%と52.7%だった。利用時間も、10代は17分、20代は36.4分と短い。一方でSNSの平均利用時間は、10代は57.8分、20代は46.1分と、メールとの利用時間の差は大きい。
しかし、30代以上ではSNSとメールの関係が逆転する。仕事をしている人が多い平日はもちろん、休日においても、メール利用者率がSNSの利用者率を上回る結果となっている。
同調査では「若年層のコミュニケーション手段がメールからソーシャルメディアに移行している傾向は変わっていない」と述べられており、若者のメール離れが拡大していることは明らかだ。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、若者のメール離れの背景に「メールの面倒さ」があるという。
「ラインなどのSNSは、いちいち文章を打たなくてもスタンプひとつで感情のやり取りが出来ます。内容が深くなければ、SNSのほうが手軽に済んで便利です」
メールを見ない内定者世代を対象にしたSNSアプリが登場
若者の「メール離れ」を受け、企業の人材育成支援を行うEDGEは、内定者向けSNSアプリを開発した。メールで送られてきた企業の連絡に気づかない内定者が、重要度の高い連絡を見落とす可能性が高まっているためだ。
同社が大卒内定者のボリュームゾーンである20~21歳の200人にアンケートを実施したところ、平均未読メール件数は576件で、未読件数の最高値は1万7841件にものぼっていた。また、37.5%が「過去に重要なメールを見逃したことがある」と答えており、やはり今の若者にとって、メールでの周知は効果が低いことが分かる。
企業としてはビジネス上そうであるように、内定者ともメールでやりとりしたいところだろう。しかし、肝心の届けたい相手に見てもらえないなら、本末転倒だ。アプリであればスマホの画面でいつでも確認でき、重要な連絡がこぼれるのも防げる。内定者同士で交流を深めたり、懇親会後のフォローなどで使われたりするのを想定しているという。
最近では、社内のやりとりにチャットやスラック、メッセンジャー等のアプリを利用する会社も増えている。メールがFAXのように「時代遅れのツール」と見なされる日も、そう遠くないうちに来るのかもしれない。