2017年シーズンのインディカー・シリーズはいよいよ後半戦に入る。前戦のテキサスは第9戦でちょうど折り返し点で、残るは8戦。チャンピオン争いは、ランキングトップから50点以内に7人がいる。まだまだかなり多くのドライバーにタイトルのチャンスは残されている。
今年はストリートコースでホンダ勢が強く、ショートオーバルやロードコースでは昨年同様にシボレーが有利。高速オーバルはほぼイーブンか、少しだけホンダが優位といったところだ。この傾向がシーズン後半戦も保たれる場合、シボレー勢が活躍しそうなレースの方が多い。
昨シーズンを振り返ると、とにかくチーム・ペンスキーが強かった。全16戦で10勝も彼らは挙げている。
今年の残りレースはロード・アメリカ、アイオワ、トロント、ミドオハイオ、ポコノ、ゲイトウェイ、ワトキンスグレン、そしてソノマだが、2003年以来の開催となるゲイトウェイ、アイオワ、ワトキンスグレン以外はすべてペンスキー勢が昨年勝ったレースだ。
そして、アイオワは今年からペンスキーで走っているジョセフ・ニューガーデンが圧勝したレースだった。
昨年ロードアメリカ、トロント、ポコノで勝っているのがウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。チャンピオンになったシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は、幾分守備的な戦いをしていながらミドオハイオとソノマを勝利した。
ワトキンスグレンはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が勝ったが、今年とは違いシボレーエンジン&シボレーエアロのパッケージで優勝だ。
第9戦テキサスを終えてのランキングトップは、ホンダにスイッチしたチップ・ガナッシのディクソン。まだ今季の勝利はないが325点を稼いでいる。
13点差の2番手がパジェノー(チーム・ペンスキー/シボレー)。トップと14点差、パジェノーと1点差で佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)が3番手。
以下、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー/シボレー)、パワー(チーム・ペンスキー/シボレー)、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)、ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シボレー)という順。パワーはトップとちょうど40点差だ。
ランキング1、2番手のディクソンとパジェノーにはまだ勝ち星がないが、彼らがこのまま勝てずにシーズンを終えるとは考えにくい。ふたりのうちタイトル争いで有利なのはパジェノーだ。
アイオワとゲイトウェイとホンダエアロの苦手とするショートオーバルが2戦もある点でディクソンは不利だ。今年のフェニックス戦のように粘って上位フィニッシュができるかが大きな鍵となるだろう。
パジェノー陣営がマークするのは、テキサスで今シーズン2勝目を挙げたパワー。彼の展望は結構明るい。先に挙げたデータの通り、シーズン後半戦には彼の得意なコースが多いためで、のし上がって来る可能性はかなり高い。
ランキング3番手につける琢磨は、初めてのタイトル争いだ。シーズン2勝目を挙げて勢いに乗る、というのがベストのシナリオ。ショートオーバルでは厳しいレースになるだろうが、ストリートコースのトロントとスーパースピードウェイのポコノではトップを争う活躍ができそうだ。
今週末に行われる次戦のロード・アメリカも健闘が期待でき、それが実現すればミド・オハイオ、ワトキンスグレン、さらにはソノマでのパフォーマンスも楽しみになる。
日本人初のインディ500制覇という快挙を達せした琢磨。タイトルを目指すシーズン後半戦はどんな走りを見せてくれるか注目だ。