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【今宮純のキャッチポイント】F1開催2年目のバクー。ハミルトンは2016年の悪夢を払拭できるか

2017年06月20日 12:13  AUTOSPORT web

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カナダGPで優勝を飾ったルイス・ハミルトン(メルセデス)
得意のカナダGPで復活、1年前の悪夢の払拭に挑むハミルトン
地殻変動が起きつつあるミドルリーグの戦いにも注目


 景観も歴史もレイアウトも異なるが、公道ベースなのはモントリオールと同じ2年目のバクー。昨年のヨーロッパGPから名称を改めた第8戦アゼルバイジャンGP、スパ・フランコルシャンに次ぐ2番目に長い6.003kmコースには3つの特徴がある。

 初めは直角ターンが連続、次は旧市街の路地を巡るような狭い道、最後は全開でいくロングストレート。F1にこんなミックス・レイアウトは今までなかった。新設バクーの狙いは、『世界最速・市街地コース』。昨年、予選でバルテリ・ボッタスが366.1km/hをマーク(コントロールライン)、モンツァを抜く最高速が出た。

 初挑戦バクー最初のクラッシュはFP1でダニエル・リカルド、次はFP3でセルジオ・ペレス、そしてQ3でなんとルイス・ハミルトン。セクター2にあるターン15とターン11だった。見るからに狭く、ブラインド気味のうねった路面を攻める彼らの前に立ち塞がった。

 初日フリー走行からすべてトップ、絶好調に見えていたハミルトンがQ1になると、突然バランスを崩した。あちこちでブレーキングが乱れ、ターン11でクラッシュ、Q3最下位の10位。いったんリズムが狂うと、取り戻すのが難しいバクー。

 それを見てとったニコ・ロズベルグがQ1逆転トップ、さらにQ2でベスト1分42秒520を記録。Q3は1分42秒758に留まり、それがポールポジションタイム。攻め過ぎたハミルトンと守り抜いたロズベルグ、2016年シーズンを象徴するような予選が見られた。

 ポールポジションを奪い獲った彼は、自身2度目で最後のハットトリックを達成、完全勝利を収めた。

 7戦を終え、いよいよ中盤戦へ。ここで順位関係をおさらいしておこう。

 昨年、コンストラクターズ・ランキング 1位メルセデス 223点 → 現在222点、2位フェラーリ147点 → 現在214点。メルセデスは昨年とほぼ同点、フェラーリは+67点の大幅アップだ。

 3位レッドブルは昨年130点 → 現在112点、ここまで5回のリタイアが響いている。

 順位変動が大きいのは中間チーム争い。昨年は4位ウイリアムズ81点が、5位フォース・インディア42点、6位トロロッソ32点と、大きくリードしていた。

 それが今年は入れ替わり、4位フォース・インディア71点(+29点)、5位トロロッソ29点(-3点)、6位ウイリアムズ22点(-59点)。まさに地殻変動が起きつつあるミドルリーグ、沈みこんだウイリアムズは7位ルノーにも迫られている。

 ここから中盤攻防戦でキーパーソンとなるのは、フォース・インディアはエステバン・オコン、トロロッソはダニール・クビアト、ウイリアムズはランス・ストロール、ルノーはジョリオン・パーマー。彼らの得点力次第によって、さらなる乱高下現象に拍車がかかる。2年目バクー、彼らのなかでチームに貢献できるのは誰か?

■今宮純が厳選するF1第8戦アゼルバイジャンGP 6つの見どころ

■キャッチポイント1
 得意のカナダGPで蘇ったハミルトン、1年前の悪夢を払拭して、現在12点差の首位セバスチャン・ベッテルを追うのがテーマ。マシンセッティングを改め、パワーユニット・チューニングで予選モード強化が目立ったモントリオール。反撃の巨人メルセデス、キーセクターは1と2だ。

■キャッチポイント2
 ピレリはミディアム、ソフト、スーパーソフトを供給。メルセデスとフェラーリが同じセット数の1、4、8を選択、3強で唯一、レッドブルが2、3、8とミディアムを増やしている。昨年、ソフト側のタイヤに苦しんだだけにこの選択、周回を重ねる目的もあるのだろう。ローダウンフォースで臨まざるを得ない彼ら、緻密なセットアップでコーナーのタイムを高めたい。

■キャッチポイント3
 週末の長期予報は晴天続き、気温は昨年並みの30℃前後。陽ざしによっては路面温度が50℃近くなる。1ストップ作戦がメインだが、コンディション変化によってプラン・バリエーションもありだ。

■キャッチポイント4
 セクター3のロングストレートはターン16から実質2km以上と最も長い。昨年セクター3ベストタイムはロズベルグ24秒420、今年はトップスピードがダウンするのでどうか。セクター1と2は速まるとしても、ラップタイムペースは小幅アップ程度か。

■キャッチポイント5
 初コース、初セッションで、いきなり4位に割って入ったフェルナンド・アロンソ。『腕比べ』のFP1はハミルトン、ロズベルグ、ボッタス、アロンソ、ベッテルの順、ドライバー力を見せつけた。しかし、予選は14位がやっと、ボッタス366.1km/hに対して最高速339.5km/h。26.6km/hの大差……。今年はパワーユニット・コンポーネンツ交換ペナルティ必至、後方から何を見せてくれるのだろう。

■キャッチポイント6
 昨年は、自己最高予選2位タイムを叩き出したペレス、ギヤボックス交換ペナルティにより7位グリッドから表彰台3位へ。『ドライバー・オブ・ザ・デイ』を獲得した。カナダGPでオコンとのチームメイトバトルが話題になった彼が、ここで奮起か。一件落着(?)の新人オコンの意地も見どころだ。