2017年06月20日 10:33 弁護士ドットコム
スマートフォンで簡単に売買ができるフリマアプリ。自宅に眠っている物を販売している人も多いのではないでしょうか。フリマアプリ最大手の「メルカリ」を見ると、日本酒やウイスキー、焼酎などのお酒も売られています。
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個人が販売しており、商品の詳細には「数年前に頂いたお酒ですが、日本酒は飲めないのでお好きな方いかがですか」「30~40年前の頂き物で、実家に置いてありました」などと説明があります。
ただお酒を販売する際には、酒税法に基づき販売場ごとに販売業免許を受ける必要があります。インターネットオークションやフリマアプリに出品することに、問題はないのでしょうか。新井佑介税理士に聞きました。
現金や領収書、さらには妊娠米(菌?)や離婚届など、にわかには信じられないネタのような出品がインターネット上のマーケットに続々登場しています。そしてこれらの出品は、私たちに様々な社会問題を突き付けています。今回は、そんなインターネットオークションやフリマアプリに出品されている商品の中から「お酒」について考えていきましょう。
まずお酒を販売するためには、酒税法上、販売場所を所管する税務署長から酒類販売業免許を受ける必要があります。これはフリマアプリの様なインターネット販売でも同様に必要となります。
とはいえ、どのような場合にでも絶対に免許が必要なのでしょうか。実はそんなことはありません。少し専門的にはなりますが、酒税法9条に規定されている「継続的な販売」に該当しなければ免許は必要ありません。
インターネットオークションやフリマアプリの出品では、
(1)自分で飲むために購入したお酒で余ったもの
(2)お中元やお歳暮などの頂きもののうち家庭で不要となったもの
を出品するようなケースが多いのではないでしょうか。
このような場合、一般的には「継続的な販売」には該当しないと考えられるため、免許は特に必要ないかと思われます。
安く仕入れて高く売ること自体は問題ありませんが、いわゆる「転売屋」のように、その行為を反復継続的に行っている場合には「継続的な販売」に該当するため、免許が必要になるかと思われます。ちなみにですが、営利目的でなくても反復継続的に行っていれば、免許が必要になる点には注意が必要です。
インターネットで(本人達は認識がなく)無免許のまま出品をするケースも多く発生していることをうけ、国税当局による酒税法違反での摘発が増加しています。インターネットの普及によって誰もが手軽に自由なマーケットへアクセスできる環境になっています。これは私たちの世界を変える素晴らしいことです。その反面、知らなかったでは済まされないことがあるのも事実です。手軽にそして自由に。だからこそ私たち利用者には、モラルと正しい知識が求められているのだと思います。
【取材協力税理士】
新井 佑介(あらい・ゆうすけ)公認会計士・税理士
慶応義塾大学経済学部卒業。金融調整から新設法人支援、法定監査まで幅広く全力でクライアントをサポート。趣味はサーフィンとスノーボード、そして登山。好きな言葉は「変わり続ける勇気」
事務所名 : AAG Arai Accounting Group / 経営革新等支援機関 新井会計事務所
事務所URL: http://shozo-arai.tkcnf.com/pc/
(弁護士ドットコムニュース)