久々のF1テストを終えたロバート・クビカが、今の自分が「何の制限もなく」F1マシンをドライブすることができることを確認できて安堵したと語った。
2011年2月に趣味として出場したラリーイベントでクラッシュしたクビカは、右腕と右手に重傷を負い、F1活動を中断せざるを得なくなった。その後、徐々にレース活動に復帰したクビカは、ラリー競技などを経て、今年はGP3、フォーミュラEといったフォーミュラマシンでテストを行った。そして今年6月、スペイン バレンシアでのルノーのテストで、 クビカは現在のルノーのカラーに塗り替えられた2012年ロータスE20に乗り込み、事故以来初めてF1マシンで走行、115ラップを周回した。
スポーティングディレクターのアラン・パーメインは、クビカはF1で必要とされる速さを発揮したと述べ、クビカ自身は「いつか本格的な復帰を果たすため一歩ずつ前進していくチャンスをつかみたい」と語った。
母国ポーランドのEleven Sportsに対して、クビカは自身のフィジカルコンディションに関し、F1現役時代よりもいいぐらいだと述べた。
「フィジカルコンディションについて、今まで相当努力してきた」とクビカ。
「今は、かつてないほどにいい状態だ。F1で現役で戦っていた時代よりもだ」
「たとえば、初めて2008年のころよりも体重が減った」
「(F1マシンを走らせることに関して)怖かったり、隔たりを感じたりといったことが、思ったほどなかった」
「事故の後、限界を抱えながらドライブするうえで、F1カーは一番楽なマシンといっていいかもしれない。そんな風に思うほどだ」
「これで安心して眠ることができる。今の僕はF1カーを何の制限もなく走らせることができるということ、速く安定した走りができるということが分かったからね」
パーメインは彼を乗せるにあたり、シフトを助けるためにステアリングに「ほんのわずかな変更」を加えるだけで済んだと述べている。
クビカは、F1マシンで走り出してすぐに、楽に走れることが分かって驚いたと語った。
「最初のランを終えてピットに戻ってくる時がなんといっても最高の瞬間だった。すべてをコントロールできているということ、何も変わっていないということが分かったからだ」
「3周走ってみて、離れていたのはせいぜい1カ月だったように感じた」
「長年(F1から)遠ざかっていたから、たくさんの疑問点を抱えていただけに、それは衝撃的だった」
「コクピットの中で、自信を持って走れたんだ。すごくリラックスしていた」
しかしクビカは、興奮しすぎないようにしたいと考えている。
「テストの後、ファンやモータースポーツ関係者たちの想像や期待が盛り上がっているようだね。でもあまり興奮しすぎても仕方がない」
「時間がたてば分かるだろう。この6年間、僕にはいろいろなことが起きた。いろいろな変化があったんだ」
「自分で設定した目標を達成するため、自分に可能だと思うことを達成するために努力していく」
「それが何なのか、それが果たして実現するのかは、まだ分からない。できるだけ高い目標を設定し、それに向けて自分の用意を整えていくつもりだ」
「2年前にはF1カーに乗るチャンスはほとんどなかった。でも今、僕はこうして戻ってきた。自分では、立派にやってのけたと思う」