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18周遅れから驚異の逆転でポルシェがル・マン3連覇。「トヨタが我々を限界まで押し上げた」

2017年06月19日 12:32  AUTOSPORT web

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優勝した2号車ポルシェのティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー
世界三大レースのひとつで、伝統ある第85回ル・マン24時間耐久レースは6月17~18日、決勝レースが行われ、4番手グリッドからスタートした2号車ポルシェ919ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー)が優勝。チームに3年連続、19回目の総合優勝を飾った。

 優勝した2号車ポルシェは、決勝スタートから3時間30分が過ぎたころにフロントアクスルドライブにトラブルが発生。修理に1時間5分を要し、序盤でトップから18周もの遅れを取ってしまった。

 しかし、その後2号車ポルシェは大きなトラブルなく着実にポジションアップ。前を走る1号車ポルシェやライバルのトヨタTS050ハイブリッド勢がトラブルなどでリタイアや上位から脱落したこともあり、レース残り3時間で総合2番手に浮上してみせる。

 この時点で総合首位だったLMP2クラスの38号車オレカ07・ギブソンとは1周のギャップがあったが、2号車ポルシェは速さを活かして猛チャージ。レース残り1時間7分のタイミングで総合首位を奪ってみせた。

 その後も快調に走行を続けた2号車ポルシェはトップでチェッカー。チームにとって通算19回目、ドライバーのバンバーとベルンハルトにとっては2度目、ハートレーは自身初の総合優勝を成し遂げた。

 一方、10時間以上に渡りレースをリードした1号車ポルシェ(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ)は、レース残り4時間をきった油圧関係のトラブルで突如スローダウン。ピットへたどり着くことができず、リタイアとなった。

 18周の遅れを取り戻しての総合優勝に対し、ポルシェAG研究開発担当役員のミヒャエル・シュタイナーは「ポルシェにとって長年の夢だった“3連覇”を成し遂げることができ最高の気分だ。長い修理時間を跳ねのけ、戦い続けたチームを祝福する」とのコメントを発表している。

■ポルシェチーム代表「この2週間、我々には最高の時もあれば、最悪の時もあった」

 また、チーム代表のアンドレア・ザイドルも「何が起きたのか表現する言葉が見当たらない。ドライバーとチームスタッフ全員が信じられないことをやってのけた」と語った。

「この2週間、我々には最高の時もあれば、最悪の時もあったが、つねに“ポルシェスピリット”を持ち続けていた。ル・マンを3連覇して、みんなを驚かせることができたと思う。12カ月に渡るチームの努力が結実した」

「また、ライバルのトヨタは本当に手強い相手だった。彼らが我々を限界まで押し上げくれたと思っている」

「10時間以上、レースをリードしたニール・ジャニとアンドレ・ロッテラー、ニック・タンディの3名は残念な結果になったが、アール・バンバー、ブレンドン・ハートレー、ティモ・ベルンハルトは勝利に値する走りだった」

「特にティモ(・ベルンハルト)は初期段階からマシン開発に携わっていたメンバーだから、努力が報われたと思うよ」

 総合優勝したバンバーは「1時間以上もピットに留まりながら、優勝することができたなんて信じられない」とコメント。ハートレーも「クレイジーなレースだった。ロスを最小限に抑えてマシンを修復してくれたチームに感謝している」と述べている。

 ベルンハルトは「1999年にジュニアドライバーとしてポルシェに加わり、いつかはル・マンの総合優勝を争いたいと思っていた」と振り返った。

「そのための準備はしっかり整えてきたし、チームに加わって18年で夢を成し遂げることができたんだ。ファイナルラップは感動的な瞬間だったよ」

「僕たちが何を成し遂げたのか、実感が湧いてくるには少し時間が必要になりそうだ」