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ル・マン24時間:1号車ポルシェがストップの大波乱! LMP2優勝の可能性も!?

2017年06月18日 18:52  AUTOSPORT web

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残り4時間を切りストップしてしまった1号車ポルシェ919ハイブリッド
第85回ル・マン24時間耐久レースは、スタートから20時間を迎えた。夜が明け太陽が完全に登り切ったが、ライバル不在となり孤独な戦いを展開してきた1号車ポルシェ919ハイブリッドが、ちょうどチェッカーまで4時間を切ったところでストップする大波乱となった。

 波乱の展開となった2017年のル・マン24時間もいよいよ終盤戦に突入した。トヨタTS050ハイブリッドの7号車、9号車がリタイアを喫し、8号車が大きく遅れる状況になってから、1号車ポルシェは極めて慎重なペースで周回。2番手がLMP2クラスで、14周という大きなマージンがあることから、3分25秒程度というラップタイムで、ピットでも安全を優先した作業を行っている様子が確認できた。

「たしかに僕らはリードしているけど、きっちり自分たちの仕事をして、ミスをせず、チェッカーまでしっかりとクルマを運ぶことが大切だ。僕たちは全力で集中しなければならない」とニック・タンディは語っていた。

 しかし、アンドレ・ロッテラーに交代し周回を重ねはじめた現地時間11時10分、まさかの光景が飛び込んできた。1コーナーに差しかかった1号車ポルシェがスローダウンを喫したのだ。場所は1周が始まったばかりの場所で、長いコースを戻ってこなければならなかった。

 後続には十分なマージンがあるため、ピットにさえ帰り着けばリペアができる。どうやらエンジンが停止している様子で、ロッテラーはバッテリーの残量を計算しながらの様子でゆるゆると走っていったが、ミュルサンヌまでも進むことができず、11時23分、ロッテラーはポルシェ919ハイブリッドから下りてしまった。チームによれば、油圧に関するトラブルだという。

 まさかの展開でがぜん注目を集め始めたのは、LMP2クラス首位の38号車オレカ、そして17日18時30分にフロントアクスルドライブのトラブルで1時間05分ピットに収まっていた2号車ポルシェ919ハイブリッドだ。

 2号車ポルシェは遅れを取り戻すべくコース復帰後は猛追をみせ、どんどんと順位を上げていた。1号車がストップした時点でLMP2の38号車オレカまでは3周差程度まで追い上げており、そのままのペースで走ることができれば、38号車をかわし総合首位に立つことができる。

 一方で、もし2号車が38号車との3周差をひっくり返すことができなかった場合、LMP2車両がまさかの優勝ということになる。ポルシェの意地をかけて2号車が優勝するのか、それとも前代未聞の珍事が起きるのか、今年のル・マンはチェッカーまで目が離せそうにない。表彰式もどんな構成になるのか、メディアセンターのスタッフも「分からない」と言っている状況だ。

 また、2号車と同様に猛追をみせているのが、16日22時47分にピットに入り、1時間59分の修復を強いられた8号車トヨタTS050ハイブリッドだ。残り4時間の時点で総合トップ10が見える位置までポジションを戻しているが、今季はLMP2のスピードも上がっており、終盤はなかなかポジションを上げられていない。

 さらにLM-GTEプロクラスも混戦が続いている。91号車ポルシェが首位だが、67号車フォード、63号車シボレー、97号車アストンマーチン、71号車フェラーリと5メーカーのマシンがいまだ同一周回。20時間を経ながらテール・トゥ・ノーズのシーンも数多く見られ、勝者はまだ見られない状況だ。