第85回ル・マン24時間耐久レースはスタートから10時間ほどという午前1時13分、7号車トヨタTS050ハイブリッドがストップしたのに続き、2番手につけていた9号車トヨタTS050ハイブリッドも接触から左リヤタイヤバーストに見舞われ、車両から出火。わずか30分ほどの間に2台がリタイアを喫する展開となったが、トヨタはこの原因を発表した。
事前のテストデーからライバルのポルシェを圧倒する速さをみせ、昨年あとわずかでつかむことができなかったル・マンでの勝利を誓い、今季のル・マンに臨んだトヨタ。序盤からポールポジションの7号車がリードを奪い、序盤3番手だった8号車も、1号車ポルシェをかわし2番手に続いたが、22時47分、125周終了後にピットイン。トヨタによれば前輪ハイブリッドモーター関係のトラブルとのことで、フロントモーターとバッテリーの交換作業を行った。
さらに、0時19分に導入されたセーフティカーの終了時、トップを走っていた7号車トヨタにもトラブルが起きる。小林可夢偉のドライブ中におきたクラッチトラブルで、可夢偉は懸命に修復しようとしたものの、ポルシェカーブで完全にストップしてしまった。
「本当に悔しいです。TS050ハイブリッドは絶好調で、僕たちは着実に後続との差を広げていました。セーフティカーが導入されたタイミングで給油のためのピットインを行い、セーフティカー明けに再スタートが切られた直後、駆動力がかからない症状が発生してしまいました」と前日まではポールシッターとして笑顔をみせていた可夢偉は語った。
「なんとかピットまで戻ろうと努力しましたが、不可能でした。このレースのためにハードワークを続け、これほど速いTS050ハイブリッドを仕上げてくれたチームスタッフの悲しみは、察するにあまりあります」
一方、その直後に2番手に浮上していた9号車トヨタにも思わぬアクシデントが襲いかかった。ニコラ・ラピエールのドライブ中、1コーナーでLMP2車両とクラッシュ。左リヤタイヤをバーストさせてしまった。これにより駆動系にダメージを負い、リヤから出火するシーンも。
ラピエールはなんとか9号車をピットへ戻そうとするが、最終的にピットに届かずマシンを下りてしまった。
「信じられないよ。ストレートの終わりで減速をした時に、LMP2カーに追突された影響で、リアタイヤがバーストしてしまった。追突したドライバーも驚いたと思うけど、追突は事実だ。チームのためにも走り続けたかったけど、ピットまで戻れず、本当に残念な気持ちで一杯だ」とラピエール。
今季、スパとル・マンではWEC世界耐久選手権参戦後初めて3台体制を敷いたトヨタ。豊田章男社長が初めて訪問したル・マンでのレースで2台を失い、1台は後方から追い上げるというまさかの展開になってしまった。