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接待でデリヘルを利用、領収書が「架空の店名」だった! 経費で落とせるのか?

2017年06月18日 10:54  弁護士ドットコム

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接待で利用したデリバリーヘルス(デリヘル)の店からもらった領収書が、架空の飲食店名義だったーー。インターネットのQ&Aサイトに、そのような投稿があった。


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投稿によると、接待相手が宿泊するホテルにデリヘルの女性を呼び、その時に領収書の発行をお願いしていたそうだ。接待相手から、領収書をもらった際に、架空の飲食店名義で、しかも金額も空欄であることに気づき、店に正式な店名での領収書再発行を要請したが、断られてしまった。


投稿者は、これらを経費として落としていたようだが、税務調査で調査官から、「正式な名前か屋号で金額も書いて渡さないといけない」と注意されてしまい、店側の調査もすることを伝えられたという。


接待の目的自体に偽りはないものの、店名に偽りのある領収書を経費で落とそうとした場合、どんな問題に発展するのか。場合によっては、店側にも何らかのペナルティが課される場合もあるのか。松本崇宏税理士に聞いた。


●領収書とは?

領収書の本来の目的は、「お金を支払った」ことの証明です。二重に請求されるのを防ぐ役割等があり、法律で請求する権利が認められています。また、領収書を出してくれない場合には、支払いを拒否することを支持する判決もあります。


「お店でお金を支払った際に、領収書を出してくれたが名義が明らかに嘘で、金額の記載もない!」


このような領収書は、たとえ貰ったとしても意味のないものであり、領収書を受領したことにはなりません。支払いを拒否しても、こわいお兄さんが出てきてやむなく諦めることもあるかもしれません。


●領収書がなくても経費となるか?

実は、領収書がなくても経費として認めてもらえる可能性はあります。


・事業に関連したものであること


・現実に支払いが行われていること


・支払い相手が実在すること


・領収書を入手できなかった事情


これらの点について、しっかり説明できればよいのです。


具体的には、「出金伝票」を作成します。(1)日付(2)支払先(3)具体的な内容(4)支払った金額をしっかり記入しましょう。その上で領収書を入手できなかった経緯についてメモ書き等で残しておくとよいでしょう。


●拒否したお店はどうなる?

領収書を入手できなかった経緯を聞いた調査官は、なぜこのお店は領収書の発行を拒否したのか気になることでしょう。「では、確認のため調査に入ろうか」ということになっても全く不思議ではありません。


もし売上を隠すために領収書を発行してなかった場合には、税務調査で重いペナルティを支払う結果になるでしょう。


また、領収書の名義を偽った場合には、「私文書偽造等罪」に問われる可能性もあります(刑法第159条)。


お店側もたかが領収書と安易に考えず、しっかりとした対応を取る必要があります。


【取材協力税理士】


松本 崇宏(まつもと・たかひろ)税理士


「デリヘルはなぜ儲かるのか」(小学館文庫)の出版を機に日本で唯一、風俗業種に特化した税理士事務所。全国の風俗業の税務申告、相談の対応をしている。新刊「風俗オーナー限定 最強の『節税』」(幻冬舎)が平成29年6月発売。


事務所名   : 税理士法人松本


事務所URL: http://www.deri-tax.com


(弁護士ドットコムニュース)