2017年06月18日 10:54 弁護士ドットコム
体育の授業でかいた汗の量をもとに、授業への参加率を判断する。授業後には、女子生徒の汗の量を見て、皆の前で褒めるーー。神奈川県のSさんが通っている高校では、そんな教師の行動が「セクハラ」だと批判されている。
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Sさんによると、教員は授業後、「~さん、首から汗だくだくで凄くいいね」などと、特定の女子生徒数名を名指しで褒める行為を繰り返していた。女子生徒たちは「気持ち悪い」と言って嫌がっているが、成績に響くことなどを恐れて、黙っているそうだ。
教師の言動でセクハラにあたるのはどういう場合なのだろうか。宮島繁成弁護士に聞いた。
「セクシュアルハラスメント(sexual harassment)は、もともとは職場で使われた概念ですが、現在は、学校を含むさまざまな団体や人間関係で用いられています。
法的な視点で見ると、程度や内容によっては、モラルや倫理の問題にとどまらず、人権を侵害する行為として、損害賠償、刑罰、懲戒処分等の法的な責任問題に及ぶことがあります。また、責任を負うのは加害者だけではありません。予防や是正の措置を講じなかったとして職場や学校自体が責任を問われることもあります」
では、今回のような教員の言動について、どう考えればいいのか。
「生徒に対して不快な思いを与えるような性的な言動はセクハラといえます。『首から汗だくだくで凄くいいね』という表現については、発汗量も身体的特徴の一つ。体重を気にしている生徒に『デブ』などと言うのと構造は似ています。しかも、身体に近づき、肌や着衣を間近に観察しなければ表現できない言葉ですので、教師の気持ちは別のものであったとしても、性的な要素を含んでいるとも言えます。
セクハラの例としては、身体に触る、メールを交換する、個人的に呼び出す、身体的特徴を話題にする、異性関係を尋ねる、着替え中の部屋に入る等があります。
セクハラもハラスメントの一形態。体罰、暴言、いじめなどと同じくハラスメントが許されないことは当然で、性的かどうかに関わらない問題です」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
宮島 繁成(みやじま・しげなり)弁護士
日弁連子どもの権利委員会。いじめ問題対策プロジェクトチーム、教育法制問題対策ワーキンググループ。いじめや体罰など学校問題のほか、法教育、スポーツ問題などに取り組んでいる。中学校及び高校の教員免許を有している。
事務所名:ひまわり総合法律事務所
事務所URL:http://www.himawarilaw.com