WRC世界ラリー選手権を4連覇中のセバスチャン・オジエは、2018年シーズンにMスポーツがフォードからのワークスサポートを得られなければ、チームから去る可能性を示唆した。
2013~2016年に渡り、フォルクスワーゲンとともにシリーズ4連覇を成し遂げたオジエ。今季はフォルクスワーゲンのシリーズ撤退に伴い、最上位クラス唯一のプライベーター、Mスポーツに移籍してシリーズに臨んでいる。
そのオジエは第1戦モンテカルロ、第6戦ポルトガルで優勝。第7戦終了時点で18点のリードを持って、ドライバーズランキング首位につけている。
オジエは「すでに2018年シーズンのことを考えはじめているし、引き続き、いい環境で戦いたいと思っていることを隠すつもりはない」と語った。
「もちろん、今の環境に満足していないわけではない。ただ、ワークスチームを相手に長期に渡って戦えるほど、Mスポーツに潤沢な資金がないことも分かっている」
「僕は安定した状況で戦いたいと思っているから、フォードが僕たちをサポートしてくれたら最高だよ。もしフォードが支援してくれれば、チームを移籍することはない」
「いつ、どんな形でサポートを受けられるかは分からないけど、フォードから継続的な支援があれば、改善できるポイントがいくつかある」
「これ(フォード支援下でのMスポーツ残留)がもっとも優先度の高い選択肢だ。しかし、それと同時にほかのオプションについても考える必要がある」
「2016年のように10月や11月まで決断を先延ばしにしたくはない」
■チーム代表も資金援助の必要性認める
Mスポーツを率いるマルコム・ウィルソンは、オジエのチームメイトであるオット・タナクとエルフィン・エバンスも安定した速さをみせていることから、2018年も現状のドライバーラインアップを維持したい考えを明かしている。
タナクは、6月8~11日に行われた第7戦イタリア・サルディニアで自身初のWRC総合優勝を達成。エバンスは第5戦アルゼンティーナで総合優勝まで0.7秒差に迫っていた。
しかし、それと同時に、ウィルソンは資金的支援がなければオジエを引き留めることは難しいことも認めた。
「間違いなく、我々の望みは今シーズンの体制を2018年も維持することだ」とウィルソン。
「今年、セバスチャン(・オジエ)がチームに加わった経緯は分かっているし、チームに加えるべく全力を振り絞った」
「2018年もセブをチームに引き留めるためには、資金的援助を受けることが必要で、その方法はふたつしかない。ひとつはタイトルスポンサーを獲得することで、我々は全力でスポンサー探しを行っている」
「もうひとつの方法は、フォードが我々をバックアップすることだよ」
「どちらの未来も実現しなければ、我々がセブをチームに残留させることは不可能だ」
「今年は、我々が懸命に努力をする年だった。以前から我々のマシンをドライブして欲しいと願っていたドライバーをチームに加える絶好のチャンスを掴んだわけだからね」
「もちろん、フォードからの技術的支援や長期にわたる関係には感謝している。しかし、今年と同じ状況のまま、2018年シーズンを戦うことは、Mスポーツ全体の将来を考えた上でも、財政面で無理がある」
WRCへの将来的な関与について、フォード・パフォーマンスでグローバルディレクターを務めるデイブ・ペリカックは「すでに我々フォードが、Mスポーツの活動にどれだけ関わっているのか、誰も気づいていない」と応じた。
「我々は長期にわたってパートナーの関係を構築している。我々はMスポーツの新車開発をサポートしてきたし、技術的側面からもかなりの支援を行っている」
「しかし、財政面の状況について議論を交わしたことはない」
「今は、我々のパフォーマンスを楽しみたい。2017年シーズンを戦うプランを立てているから、そのプラン通りに戦って、チャンピオンシップ争いに集中したいと思う」