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「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『TAP -THE LAST SHOW-』、『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』

2017年06月16日 18:33  リアルサウンド

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 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品をプッシュします。


参考:藤原竜也主演『リバース』最終回はどうなる? ドラマオリジナルの結末への期待


■『TAP -THE LAST SHOW-』


 リアルサウンド野球部、横浜DeNAベイスターズファンの石井がオススメするのは、水谷豊初監督作品『TAP -THE LAST SHOW-』。


 夏の暑い体育館、厳しい先輩からの声、終わらない練習、そして試合に勝った時の喜び……本作を観ながら、学生時代の部活動の光景がありありとよみがえりました。


 監督兼主演を務める水谷豊が題材に選んだのはタイトルの通り、“タップ・ショー”。かつてタップダンス界のスター・渡真二郎(水谷豊)は、ステージ中の事故で大怪我を負い、そのまま引退、その後は酒に溺れる自堕落な生活を送っています。それこそ、40年前の出演作である長谷川和彦監督作品『青春の殺人者』で見せていたギラつき、オラつきを彷彿とさせ、水谷豊=杉下右京(『相棒』)のイメージが定着している方にとっては、別人と思ってしまうほどの乱れっぷりです。


 渡は、友人の劇場オーナー・毛利(岸部一徳)からの呼びかけにより、過去の自分との訣別のため、情熱に溢れた若手ダンサーを鍛え上げ「ラスト・ショウ」の開催を目指します。このショウに向かっての特訓がとにかく熱いです。努力・根性という言葉がどこか白々しくも響いてしまう今の時代に逆行するかのように、スパルタな指導と汗だくの練習シーンが繰り返されます。若者たちを指導する渡は、自身のステッキ(過去の怪我で歩行が困難なため)を振りかざし、折れるまで叩き続けるほど。そんな渡の姿に、部活の顧問にしごかれたあの夏の日を思い出し、冷や汗をかいた筆者でしたが、思い返せばあれも“成長”のためには必要な時間だったなあとしみじみしてしまいました。


 舞台を担う若手ダンサーたちは、恋人との将来に自身を持てない者から、ホストで生計を立てる者、厳格な父親にダンスを禁じられてる者、自閉症で周囲とコミニュケーションが取れない者まで、様々な苦悩を抱えながら、夢に向かって努力し続けます。環境的に恵まれた者もいなければ、これまで成功をおさめた者もいない。そんな雑草チームの彼らが、チームとして団結し、成長していく姿は、涙なしには観られません。


 「そんな何度も作られてきたストーリーには涙しない」という方もいると思います。しかし、本作のすごいところは、彼らの努力の結晶である最後のショウが、文字通り“本物”であること。それまで描かれてきた彼らの背負う人生に答えを出すように、圧巻のパフォーマンスを見せてくれます。ラスト24分間のダンスは、映画というより、彼らの「ラスト・ショウ」をパブリックビューイングで観ている心持ちです。


 タップダンスとは無縁の人生を歩んできた筆者ですが、映画鑑賞後は足踏みをしながら階段を下りてしまうほどでした。ストーリーとして、ひとつのショウとして、一回の鑑賞で2度楽しめる映画館で観るべき作品です。


■『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』


 「魔法学校に通いたい!」と、幼い頃から何度も妄想しました。そんなリアルサウンド映画部のゆとり女子・戸塚がオススメする作品は、『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』。


 本作は、シリーズ累計770万部を突破した人気小説『魔法科高校の劣等生』の原作者、佐島勤(イラスト・石田可奈)が書き下ろした完全新作オリジナルストーリー。魔法が技術として確立された世界を舞台に、通称“魔法科”に通う一組の兄妹と仲間たちの波乱の日々を描く。劣等生の兄・司波達也と、優等生の妹・深雪。ふたりの魔法科高校での生活は、一学年目を終えようとしていた。そんな中、春休みを利用して、小笠原諸島のとある別荘へと休暇に訪れ、束の間の休息に羽根を伸ばす達也たち。しかし、彼らの前にひとりの少女“九亜”が現れる。海軍基地から脱走してきたその少女は達也たちにひとつの願いを告げるのだった。


 “そして司波達也は、伝説となるーー。” というキャッチコピーにもあるように、まさに“最強”のシバさんが“伝説”となる映画です。なんてったって、ついにシバさんが地球という枠組みを超えて活躍するのだから、司波達也ファンをはじめ『魔法科高校の劣等生』ファンは必見の内容です。また、“魔法科高校”という場所を離れ、あくまで春休み中の出来事として描かれているため、小説やアニメを未見の方たちにもわかりやすく、観やすい内容となっています。


 相変わらずクールなシバさんは、どこまでも無駄がなく完璧に任務をこなします。(今回に至っては“任務”ではないが。)“深雪への兄妹愛”以外の感情がないということもあって、深雪に関すること以外は、常に冷静で臆することがありません。涼しい表情でどんなに難しいことでも簡単にやってのけてしまうのです。国だけではなく地球も救えます。まさに最強のキャラクター、ラスボスなのです。本作を観ていて、シバさんだけは絶対に敵に回したくないな、と改めて感じました。


 魔法を使う際の発動速度、規模、干渉力全てが標準以下の劣等生ですが、その分、身体能力が高く、頭の回転も早い。そして何より、圧倒的な戦闘力を誇るため、誰よりも頼りになります。そんなシバさんは、カッコよくないはずがないのです。もちろん、深雪から溢れんばかりの愛情を注がれているほかにも、シバさんのことを想っている女の子たちはたくさんいます。今回もバカンスで、水着の美女たちに囲まれていました。(レオンハルトと幹比古もいましたが。)


 そんな安定のカッコよさと圧倒的な強さ、そしてモテまくるシバさんを観ているのは、なんとも爽快です。司波達也に感情移入して“俺つえぇ”を味わうのも、妹の深雪に感情移入して“さすがはお兄様です”を味わうのも、どちらも楽しめます。そして何よりも『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』では、九亜ちゃんがとてつもなく可愛い。加えて、もうひとりの“最強”、魔法部隊「スターズ」の総隊長アンジェリーナ=クドウ=シールズの強さと可愛らしさも素敵です。一見の価値あり。


 今週末、あなたも“最強”が“伝説”になる瞬間を目撃してみませんか?