先日行われたバレンシアでのテストに参加したロバート・クビカは、F1復帰に必要なだけのペースを発揮できることを証明したと、ルノーのトラックサイド・オペレーションディレクターであるアラン・パーメインが話している。
クビカは先週のテストで2012年型ロータスF1カーに搭乗。2011年2月にラリーイベントでのクラッシュで腕に重傷を負い、F1キャリアを中断して以来初となるF1での走行だった。
クビカはバレンシアのコースで115周を走りきり、テスト後には「これで正式な復帰を目指せる」と語った。パーメインはポーランドのテレビ局Eleven Sportsに対し、クビカは今回のテストで速さを証明したが、それよりも大きな驚きだったのは彼の走行距離だと述べた。
「彼がペースを発揮できることについては、これまでもまったく疑ったことはない。身体的に走れる状態にあるかどうか、それ以上に長距離を走行できるか否かは、彼にも僕にもわからなかった」
「彼はいろいろなマシンに乗ってきた。シミュレーターでの作業もしたし、今年の始めには今回のテストへの準備としてGP3マシンもドライブした。だが、彼の限界点がどのあたりなのかは正直わからなかった。けれども率直に言って、テストはとてもうまくいった」
「彼は速かったよ。ロングランやショートランを何度かこなし、予選や決勝のシミュレーションもして、どれも非常にうまくいった」
クビカの目指す復帰が実現する可能性について聞かれたパーメインは 「統計やデータをみる限り、ペースはある。それは間違いない」と話し、以下のように続けた。
「私に言えるのは、彼は火曜日(6日)にバレンシアで素晴らしい仕事をしたということだけだ。(バレンシアの)他にも多くのサーキットがあり、そこで走る際に身体的な限界があるかどうかについては、今のところ彼にしかわからない」
「そこを掘り下げる必要があるとしたら、それが次のステップになる」
クビカが過去数年間シングルシーターに乗れなかった要因のひとつは、彼が右手と右腕に重傷を負ったことにある。だがクビカがマシンを扱えるようにするために、チームは「シフト操作ができるように、ほんの少しだけステアリングホイールを調節すればよかった」とパーメインは言う。
「同じ側でシフトアップとシフトダウンができるようにしただけだ。なんということもない、ソフトウェアの小さな変更だけだ。そしてそれは(パフォーマンスに)何の影響も与えなかった」
クビカがテストに参加するため、ルノーは数カ月にわたって作業をしてきたが、実際の走行が行われるまで公にされていなかった。このことについてパーメインは以下のように説明している。
「正直、メディアにあまり騒いでほしくなかったんだ。このニュースが出れば、みんなが関心を持つことはわかっていた。みんなロバートが大好きだし、以前の事故については誰もがとてもつらい思いをした」
ルノーは今回のテスト走行を一度かぎりの試みだと示唆したが、クビカに今後も機会を与える可能性があることを、パーメインは認めた。
「今も(クビカと)連絡を取り合っている。将来的に何ができるのかについて話し合っているところだ。他に計画されていることはない。いま言えるのはそれだけだ」
「だが、今後あらためて何かを行う可能性まで否定はしない」