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淫行問題の小出恵介さん、相手女性と示談成立…今後、罪に問われる可能性はあるのか?

2017年06月16日 14:14  弁護士ドットコム

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6月9日発売の写真週刊誌「FRIDAY」で17歳の少女との不適切な関係が報じられ、現在無期限活動停止中の俳優・小出恵介さんについて、所属事務所が6月15日、相手女性と示談が成立したと発表した。


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所属事務所「アミューズ」のHPに掲載された「小出恵介に関するご報告」によると、代理人弁護士を通じて相手女性と親権者を交えて話し合いを行い、「本件に捜査が及ぶ場合には、小出恵介当人に全面的に協力させ、当人が負うべき責任と義務を誠実に全うさせる所存です」としている。


示談が成立した場合、今後刑事上の処罰はどうなるのか。奥村徹弁護士に聞いた。


●起訴前の示談では、示談金が相手の「言い値」になることも珍しくない

ーー性暴力を巡る示談では、一般的にどういった内容が盛り込まれることが多いのか


起訴前で、刑法の性犯罪の疑いがある場合には、起訴を避けるために、示談金の引き換えに「告訴しない」「告訴を取り下げる」、「被害者が今後警察の捜査に応じない」などという条項を盛り込むのが一般的です。


普通は、これで解決したという趣旨で「双方これ以上請求しない」という精算条項も盛り込まれます。さらには、「本件和解内容については一切他言しない」という秘密保持条項が盛り込まれることも多いと思います。


最近では、保護者の希望で、被害者と一切連絡・接触しないという誓約を入れることもあります。


ーー18歳未満に対する性暴力の示談金の相場はいくらなのか


強姦・準強姦罪の裁判例においてよく見かける金額は300万~500万円ですが、起訴前の示談の場合は、強姦既遂だと実刑が予想されるところをそれで処罰されることが無くなるわけですから、相場を越えて被害者の希望額(「言い値」)で示談することも珍しくありません。


●「告訴しない」旨の示談が成立していれば、青少年健全育成条例の淫行罪で起訴されることはない

ーー今後小出さんは罪に問われる可能性があるのか


法律上可能性があるのは、まず、大阪府青少年健全育成条例の青少年淫行罪です。これは告訴がなくても処罰できます。


条例の淫行罪は、仮に、淫行自体が、青少年の健全成長への危険を招くものではなかったとしても、そのようなおそれ(抽象的危険)があるものとしてとらえます。そして、成人に対しては、そのような危険を回避する義務が課されていると考えられます。(亀山継夫「判例研究 児童に淫行をさせる罪 その2」研修347号60頁参照)。ですから、告訴があるかどうか、という話ではないのです。


もっとも、青少年淫行罪には、刑法の性犯罪が及ばない範囲をカバーする補充的性格があります。


大阪府青少年健全育成条例には、「専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと」と定められていますが、この「青少年を威迫し、欺き、又は困惑させ」という手段についても、刑法の性犯罪に該当しない程度と理解されています。


ですから、条例よりももっと重い、刑法の性犯罪について告訴しない旨の示談が成立している場合に、あえて青少年淫行罪だけで起訴されることは実際にはありません。


なお、同条例の夜間同伴罪については、形式的な罪ですので、問われる可能性が残ります。起訴猶予ないし10万円程度の罰金です。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
奥村 徹(おくむら・とおる)弁護士
大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員
事務所名:奥村&田中法律事務所
事務所URL:http://www.okumura-tanaka-law.com/www/top.htm