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終わったはずの「昼顔」不倫「せめて、もう一度」、バレたら慰謝料の額も増える?

2017年06月16日 10:53  弁護士ドットコム

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2014年夏に放送された連続ドラマ「昼顔」の劇場版が6月10日から上映されている。ドラマ版では、平日昼間に夫以外の男性と恋に落ちる「平日昼顔妻」の姿が多くの反響を呼び、「昼顔」が2014年の流行語大賞にノミネートされるなど社会現象にもなった。


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ダブル不倫していた笹本紗和(上戸彩)と北野裕一郎(斎藤工)は、ドラマ版の最終回で、別れることになった。映画では、別れから3年後が描かれる。紗和は夫と離婚し、小さな町に引っ越したが、偶然、北野と再会。2人は再び逢瀬を重ねていくというストーリーだ。


このように、不倫を一度は終わらせたのに、また再び不貞行為を行った場合、慰謝料にはどう影響するのだろうか。なお、ドラマ版では、2人が再び会うようになった場合、「毎月30万円の慰謝料を(北野の妻に)支払う」ことに同意しているが、そのような違約条項がない一般的なケースとして澤藤亮介弁護士に聞いた。


●不倫慰謝料はどう決まるのか?

ーー 一般的に不倫慰謝料はどのような点を検討していくのでしょうか


不倫慰謝料の問題は、裁判実務上、次の2段階で検討されます。


(1)慰謝料が発生しているのか(=不法行為が成立しているのか)という「入口」の問題


(2)慰謝料が発生しているとして金額はいくらか(慰謝料の算定)という「中身」の問題


今回の質問は、(1)の「入口」については、争いがないケースです。そこで、(2)の問題についてはどう検討されるのかを考えます。


実際の裁判で慰謝料の金額を算定するにあたっては、主に次のような点が考慮されます。


・不倫交際開始時における夫婦の関係性(婚姻期間の長短、当時の夫婦仲など)


・不倫交際の内容(交際期間の長短、性交渉の回数、出産・認知の有無など)


・不倫交際によって生じた損害(離婚まで至っているか否か、肉体的精神的損害の程度など)


上記のような、その事案における諸事情が考慮された上で相当な慰謝料額が算定されることになります。問題となる事情が、裁判上、慰謝料額の算定に影響を与える事情にあたるか否かがポイントとなってきます。


●「昼顔」の2人の場合は?

ーー「昼顔」の2人の場合には、どう判断されるのでしょうか


前回の不倫交際後、裕一郎さんと紗和さんが、以後、接触をしないとの合意を両夫婦間(4者間)でしています。ところが、今回の映画のように再会した上で肉体関係も持ってしまいました。


このような場合、一般的に、裁判上でも、信義に反する態度であるとして、慰謝料の増額事由と認められ、そのような合意がなかった場合に比べて慰謝料が増額されることとなるでしょう。


また、不倫交際における交際期間や性交渉の回数も、慰謝料算定の上で考慮される事情となります。性交渉が1回のみの場合に比べ、交際期間が長く、性交渉の回数も多い場合の方が、当然慰謝料の高額になる傾向にあります。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
澤藤 亮介(さわふじ・りょうすけ)弁護士
東京弁護士会所属。不倫、離婚問題などを中心に取り扱う。iPad、iPhoneなどのデバイス好きが高じ、事務所内の事件資料や書籍の全面データ化等、ITをフル活用して業務の効率化を図っている。日経BP社『iPadで行こう!』などにも寄稿。
事務所名:新宿キーウェスト法律事務所
事務所URL:http://www.keywest-law.com