第85回ル・マン24時間耐久レースは6月15日、現地時間19時から予選2回目が行われ、クラッシュによる赤旗中断があった後、小林可夢偉駆る7号車トヨタTS050ハイブリッドが素晴らしいアタックを展開。3分14秒791というコースレコードタイムをマークし、ポールポジション獲得を決定づけた。
多くのマシンがトラフィックにより満足いくアタックができなかった予選1回目から一夜明け、ロード・トゥ・ル・マンやポルシェカレラカップの走行が行われた後、夕焼けがサルト・サーキットを包むなか迎えたル・マン24時間の予選2回目。LMP1勢は各車とも早めにコースインしようと、ピットレーンに並ぶ姿がみられた。
そんな予選2回目だが、開始直後に早くも波乱が。セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デイビッドソン/中嶋一貴組の8号車トヨタTS050ハイブリッドが、ユノディエールの第2シケインにあたるミシュランシケインの立ち上がりで突如スローダウンを喫したのだ。
ドライブしていたセバスチャン・ブエミは、時速60kmほどでなんとかピットに戻ることができたが、戻っていた状況、ピット内でエンジンを担当する日本人スタッフが説明を行っていたことなどから、エンジンに関連したトラブルではないかと推測された。
一方、チームメイトの7号車トヨタTS050ハイブリッドは、マイク・コンウェイがステアリングを握り周回を重ねていくが、開始16分というところで3分18秒651というタイムをマークし、前日の小林可夢偉のタイムを更新する。
その直後の開始17分、前日の2セッションを含めて初めてのレッドフラッグが提示された。ユノディエールのフォルツァ・モータースポーツシケイン立ち上がりで、LMP2クラス/ユーラシア・モータースポーツの33号車リジェがクラッシュしてしまったためだ。このクラッシュによるガードレールの修復のためセッションは20時08分まで中断されてしまう。長い赤旗となったことから、セッションは21時30分まで延長されることになった。
その赤旗明け、真っ先にピットレーン出口に並んだのは、小林可夢偉がステアリングを握った7号車トヨタだ。ニュータイヤを装着した可夢偉は、アウトラップからハイペースで飛ばし、タイムアタックをかけていく。
アタックラップでトラフィックは2台ほど、それもユノディエールでかわすことができた可夢偉は、場内実況が『カムイ・コバヤシ!』と絶叫するなか、なんと3分14秒791という驚異的なタイムをマークしてみせる。
後方にはポルシェの2台も続きタイムを上げたものの、ニール・ジャニの1号車ポルシェは3分17秒259、ベルンハルトの2号車は3分18秒162というタイム。これまでのレコードは3分16秒887(2015年ニール・ジャニ/ポルシェ)というもので、可夢偉&トヨタがそのレコードタイムを大きくブレイクすることになった。なお、3分14秒80というタイムが1985年に記録されているが(ハンス・シュトゥック/ポルシェ956)、これはコースレイアウトが現代とは大きく異なる。
セッションはその後、各所でスピンやコースアウト等あったが、残り9分33秒というところで、テルトルルージュ入口のところで元サッカーフランス代表GKのファビアン・バルテズがドライブしていた23号車リジェがクラッシュ。赤旗が提示され、そのままセッション終了となった。
最終的に可夢偉のタイムは更新されず、21時30分のチェッカーを迎えることに。2番手は1号車ポルシェ、3番手は2号車ポルシェという結果に。一方、8号車トヨタはリヤエンドを大きく修復する作業が続けられ、終了直前にピットアウトできたものの、7号車とは明暗を分けた。
LMP2クラスは、CEFCマノーTRSの25号車オレカがLMP1の4号車をも上回る3分25秒549でトップタイム。ジャッキー・チェンDCレーシングの38号車オレカが続いた。LM-GTEプロクラスは97号車、95号車とアストンマーチン勢がワン・ツー。リシ・コンペティツォーネの82号車フェラーリが3番手につけている。