VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーが2018年からの導入を計画している“Gen2規定”と呼ばれる新レギュレーションのマシン規定に向け、ホールデンが新型コモドアの新たなレンダリング画像を公開。あわせて導入を計画していたV6直噴ターボの導入を「試験的なもの」に限定するとし、開幕時点では現行のV8を引き続き搭載すると発表した。
2017年シーズンの開幕直前に北米で開発中のマシン画像がリークされた際、2018年から搭載すると噂されていた新型V6直噴ターボの存在を公式に認めていたGMホールデン。
6月9日に“最初の公式画像”として公開したこのレンダリングイメージは、GMデザイン・オーストラリアのエクステリア・デザイン・マネージャーであるピーター・ヒューズが担当したもの。合わせて、GMホールデンは現行の5リッターV8OHVのホモローゲーションを2018年も延長申請することを発表。
これにより、ホールデン・ワークスの“レッドブル・レーシング・オーストラリア”(RBRA)を運営するトリプルエイト・レースエンジニアリングのみならず、シャシー供給を受けるその他のカスタマーチームも、既存のエンジンを流用しながらマシンを2018年モデルにアップデートすることが可能となり、陣営からは歓迎の声が上がっている。
当初は新型に切り替わると同時に導入を予定していた新型のV6直噴ターボエンジンは、引き続き開発作業を続けていくとし、RBRAチームのみ2018年シーズンにいくつかのイベントで“ワイルドカード”として試験的な投入を行うという。
このエンジンは、現在GT3マシンとして北米のPWCピレリ・ワールド・チャレンジなどに参戦しているキャデラックATS-V.R.に搭載される3.6リッターV6直噴ターボをベースにしているとみられ、すでにエンジンはアメリカ・ミシガン州にあるGMレーシングのダイノ上で試験が開始されている。
トリプルエイト・レースエンジニアリングの代表を務めるローランド・デーンは「この決定はホールデン陣営にとって有益なものになるだろう」との見通しを語った。
「もし2018年の開幕時点から(Gen2規定での導入が許される)V6直噴ターボありきでホモロゲーションを行えば、新型マシンを投入できるのはワークスである我々と、かつてHRT(ホールデン・レーシング・チーム)としてその役割を担ってきたウォーキンショー・レーシング(現・モービル1HSVレーシング)の2チーム程度に留まることになっただろう」
「つまり、V8エンジンの使用継続を決めたことで多くのカスタマーチームが、既存のエンジンを流用したまま新型のシャシーに切り替えることが現実的になった。また、エンジン開発のリードタイムを稼ぐ意味でも、GMホールデンにとって悪い話ではない」
VASCのCEOを務めるジェームス・ウォーバートンも、このホールデンの決定を支持している。
「現実的な判断だ。こうした動きはシリーズにとってはもちろん、現在参戦中のマニュファクチャラーや、これから参入を考える新たなブランドに対しても好ましい流れとなるだろう」
自動車メーカー連合再編の動きを受け、オーストラリアではホールデン・コモドアの現地生産がすでに終了。この次期型となる5ドアハッチバックのコモドアは、オペルを生産するドイツのファクトリーから輸入されることとなる。
すでにトリプルエイト・レースエンジニアリングはGMホールデンとともにこの新型Gen2シャシーのR&Dと一部プリペアの作業を開始しており、VASCシリーズのテクニカル部門によるエアロテストも、今季の第4四半期には実施される予定となっている。