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BTCC:第5戦クロフト。スバル・レヴォーグ2勝目も、3名が病院搬送の事故発生

2017年06月14日 17:42  AUTOSPORT web

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土曜の予選でトップタイム計測後に多重クラッシュに巻き込まれたアシュリー・サットンのスバル・レヴォーグ
BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の第5戦が6月10~11日の週末に、ノースヨークシャー、ダーリントンにあるクロフト・サーキットで開催され、雨がらみの土曜から多くのアクシデントが発生するなか、レース1を今季初ポールポジションからスタートしたチームBMR、スバル・レヴォーグのアシュリー・サットンが制覇。レース2はBMWのコリン・ターキントン、レース3ではフォード・フォーカスのマット・ジャクソンがそれぞれ勝利を挙げた。
 
 このイベントを前に、ワークスとしてMG6 GTを走らせるトリプルエイト・レースエンジニアリングはドライバー交代を発表。開幕からMGのステアリングを握っていたダン・ロイドが、チームの成績不振を理由にTCRインターナショナルのクラフト-バンブーに移籍。
 
 その代役に、2016年シーズンまで同チームに所属していたジョシュ・クックがマキシマム・モータースポーツから電撃復帰する形となった。

 そんななか、雨がらみのセッションからスタートとなったクロフトの週末は、スバル・レヴォーグのサットンが好調を維持。フリープラクティスからトップタイムをマークし、その勢いのまま予選に挑むことに。

 しかしその一方で、ウエット路面に足元をすくわれるマシンも続出。FP1では、トヨタ・アベンシスのトム・イングラムがシケインでラインが膨らみフロントを大破。

 さらに30分の予選セッションでは、残り9分となった時点で、10台以上が絡むマルチクラッシュが発生。モーターベース・パフォーマンスのフォード・フォーカスSTをドライブするルーク・ダベンポートのマシンからオイルが漏れたことが引き金となり、クロフトのトラックでも随一の高速セクションとなる右コーナーで続々とマシンがコースオフしていく。

 フォーカスの直後を走行していたウエスト・サリー・レーシング(WSR)のワークスBMW、アンドリュー・ジョーダンを筆頭に、ジェフ・スミスのホンダ・シビック・タイプR、ワークスMG6のアーロン-テイラー・スミスなどは激しくマシンを損傷。ダベンポートを含め、すぐさま救急搬送が行われる事態となった。

 それ以外にも、トップタイムを記録していたサットンをはじめ、アダム・モーガン(メルセデス・ベンツAクラス)、マット・ジャクソン(フォード・フォーカスST)、ジャック・ゴフ(ホンダ・シビック・タイプR)などはマシンダメージにより自力でのピット帰還ががかなわず。

 予選はそのまま赤旗終了となり、短縮されたセッションながらサットンのスバル・レヴォーグが今季初のポールポジションを獲得した。

 病院へと搬送されたドライバーたちの状況が心配されるなか、日曜の午前にレース1がスタート。

 ポールから危なげなくホールショットを決めたサットンは、その後もレース全域にわたって背後のターキントンからのプレッシャーを受け続けるも、2度の王者からのマークをコンマ6秒しのぎ切り、うれしい移籍後2勝目。

 3位には8秒後方で一人旅となったモーターベース・パフォーマンスのマット・ジャクソンが入り、前日、大クラッシュを演じたチームメイト、ダベンポートに捧げる今季初表彰台となった。

 続いて正午にスタートしたレース2では、今度はターキントンがFRマシンの車列を引っ張るレース展開に。そのリヤバンパーの左右を撫で続けたのは、レース1と位置を入れ替えたサットンのレヴォーグ。

 サットンは前戦のお返しとばかりに、ターキントンに休む暇を与えないドライビングで攻め立て続ける。3番手のWSRロブ・コラードにバトルに参加させる余地がないほどの攻撃を続けたものの、順位は変わらずそのままフィニッシュ。

 4位にワークス・ホンダのゴードン・シェドン、5位にWSRのアンドリュー・ジョーダン、6位にスバル・レヴォーグのジェイソン・プラトが入った。

 そして最終レース3は、リバースポールにAmDチューニング.comのアウディS3セダン、オリー・ジャクソンがついてスタートするも、その背後4番手からアウディの直後までジャンプアップしてきたのは、午前中のレースで3位表彰台に上がったマット・ジャクソンのフォーカス。

 後続のアクシデントにより早々に導入されたセーフティカーが明けた直後、3周目にはアウディに並びかけ、接触によりアウディS3がスライドした間隙をついてフォーカスが前へ。

 その後、7周目にチームメイトのプラトをかわして2番手に浮上してきたレヴォーグ、サットンからの猛攻をしのぎ続けたジャクソンは、最終ラップのヘアピンでレヴォーグとのサイド・バイ・サイドのバトルも制し、気迫のトップチェッカー。

 午前に続き、僚友ダベンポートに今季初優勝もプレゼント。2位にサットン、3位にプラトのスバル勢が続き、4位にトヨタ・アベンシスのロブ・オースティンが入った。

「ドライバーが怪我を負うのを見るのは、いつだって気分がいいものではない。それがチームメイトならなおさらだ」と、冷静な面持ちで語ったジャクソン。

「この勝利はルーク(・ダベンポート)に捧げたいし、彼が後押しをしてくれたようなものだ。何より早く回復し、再びレースカーのシートに座れる日が来るのを願っている」 

 この週末、病院に搬送された3名のドライバーだが、MGのアーロン-テイラー・スミスは左足を骨折も夜のうちに自宅へ。しかし、ダベンポートは骨盤骨折を含む肺挫傷などで重篤、ホンダのジェフ・スミスも肺と肩の損傷により集中治療室で懸命の回復措置が続けられている。