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TOYOTA GAZOO Racing 2017年NASCAR第14戦ポコノ レースレポート

2017年06月14日 12:52  AUTOSPORT web

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ルーキーのエリック・ジョーンズが自己最高の3位カイル・ブッシュがレース支配も終盤のコーションに泣く
モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第14戦ポコノ
ルーキーのエリック・ジョーンズが自己最高の3位
カイル・ブッシュがレース支配も終盤のコーションに泣く
“トリッキー・トライアングル”ポコノで行われたカップ・シリーズ14戦は、カイル・ブッシュが2戦連続のポールポジションからレースの大半を支配したが、終盤に出されたコーションで惜しくも後退し9位。

 レースを通してトップ5で戦ったルーキーのエリック・ジョーンズが自己最高位となる3位でフィニッシュした。
 
 エクスフィニティ・シリーズではペナルティで大きく順位を落としながら追い上げたダニエル・スアレツが5位。テキサスで行われたキャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは、クリストファー・ベルが今季2勝目を挙げた。

Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第14戦 Pocono 400
開催日:6月11日

ルーキーのエリック・ジョーンズが自己最高の3位
カイル・ブッシュがレース支配も終盤のコーションに泣く

 6月11日(日)、米国東部ペンシルバニア州ロングポンドのポコノ・レースウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第14戦「Pocono 400」が開催された。
 
 ポコノは1周2.5マイルと長く、3本のストレートをそれぞれ曲率、バンクが異なる3つのコーナーで繋いだ3角形レイアウトを持つ独特のコースで、「トリッキー・トライアングル」の愛称を持つ。
 
 ストレートエンドでは320km/hを超えるなどハイスピードだが1周が長いため、グリーン下でピットインしても周回遅れになりにくく、それを踏まえた様々な戦略がとられる。

 トヨタ勢ではデニー・ハムリンが過去2勝。ハムリンはトヨタ参戦前にも2勝を挙げ通算4勝と得意としている。また、2015年にはマット・ケンゼスが32番手スタートから勝利を挙げている。

 11日(日)午後3時22分、2.5マイルトライアングルオーバルを50周、50周、60周の3ステージ合計160周(400マイル:約640km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
 
 今季これまでに2勝、目下ランキング首位のマーティン・トゥルーエクス・Jr.は予選で2番手を獲得したが、決勝前にエンジン交換を行ったため、最後尾へとポジションを落としてのスタートに。

 このため、2戦連続、今季2度目のポールポジションを獲得したカイル・ブッシュと予選3番手のマット・ケンゼスが最前列に並んでスタートを切ったが、ケンゼスが出遅れポジションダウン。カイル・ブッシュは好ダッシュを決めると、序盤から後続を引き離していった。

 ステージ1は一度もイエローコーションが出ず、グリーン下でのピット作戦で中盤エリック・ジョーンズが首位に立ったが、エリック・ジョーンズがピットインした後はふたたびカイル・ブッシュが独走。ステージ1を制した。ステージ1で
はケンゼスが8位に入り、ボーナスポイントを獲得した。

 ステージ2は、スタート前のコーションでエリック・ジョーンズがタイヤ2本交換作戦をとり首位浮上。これをカイル・ブッシュが追い、60周目に首位を奪還した。
 
 ふたたびイエローコーションの出ない展開で、チーム毎に異なるタイミングでのグリーンフラッグピットが行われ、順位が入れ替わったが、トヨタ勢は上位を維持。一時はトップ4を占める速さを見せた。

 ステージ2の残り5周というところでクラッシュ車両によりイエローコーション。車両から出火し、赤旗中断に。レース再開後、残り2周で再スタートが切られ、カイル・ブッシュが2位、トゥルーエクス・Jr.が3位、エリック・ジョーンズが6位、ケンゼスが10位でステージ2を終えた。

 ステージ3でもカイル・ブッシュの快進撃は止まらず、再スタートで首位に立つと、ぐんぐん後続との差を広げ、123周目にはその差は約5秒に。
 
 カイル・ブッシュは125周目に最後まで走り切るためのグリーンフラッグ下でのピットイン。その後、ピットインを引っ張った車両も次々にピットへ向かい、141周目、全車がピットを終えてカイル・ブッシュが首位に復帰した直後、クラッシュ車両によりイエローコーション。
 
 大差をつけて首位を独走していたカイル・ブッシュのマージンは帳消しとなってしまった。

 残り十数周でのバトルへ向け、ピット戦略に注目が集まった。これで首位のカイル・ブッシュは厳しい状況に。自分がピットへ向かえば後続の何台かはコース上に残り先行、ピットに向かわなければ後続はピットへ入り新品タイヤへ、という状況で、カイル・ブッシュはコース上に残る決断をしたが、当然後続車両はほとんどがピットへ。
 
 2本タイヤ交換作戦をとったエリック・ジョーンズが3位となり、残り13周で再スタート。首位のカイル・ブッシュはスタート直後こそトップをキープしたが、3周ほどでタイヤの新しい他車に迫られポジションダウン。
 
 その後、フロントグリルに異物が貼り付くという不運にも見舞われずるずると順位を落とすこととなってしまった。

 一方でエリック・ジョーンズが好走を見せ、トヨタ勢最上位の3位でフィニッシュ。今季から最高峰カップ・シリーズにフル参戦している21歳になったばかりのルーキーが、キャリア初となるトップ5フィニッシュを果たした。
 
 エリック・ジョーンズは今大会の結果、ルーキータイトル争いでも首位に立った。
 
 最後尾からのスタートとなったトゥルーエクス・Jr.が6位。レース最多の100周にわたって首位を独走し、レースの大半を支配しながら終盤のコーションに泣いたカイル・ブッシュは9位フィニッシュ。
 
 現在カップ・シリーズが行われているコースの中で、シャーロットとポコノのみが未勝利(シャーロットはオールスター戦で勝利もポイントレースでは未勝利)のカイル・ブッシュにとって、狙っていたポコノでの初勝利はまたもお預けに。
 
 ただ、今大会、カイル・ブッシュは通算リードラップ数(首位を走行した周回数)が13,000周を突破。NASCAR史上、この数字を突破した11人目となった。

 次戦第15戦は6月18日(日)、米国北東部ミシガン州ブルックリンのミシガン・インターナショナル・スピードウェイで行われる。

ドライバー エリック・ジョーンズ
「価値あるトップ5フィニッシュをついに果たせて本当にハッピーだ。今日はずっとトップ5圏内で戦い、戦略も上手く行った。最後の再スタートは21号車(ライアン・ブレイニー:フォード)と18号車(カイル・ブッシュ)とのサイド・バイ・サイドについて行こうとしたができなかった」

「その後は2号車(ブラッド・ケゼロウスキー:フォード)と41号車(カート・ブッシュ:フォード)を抑えるのに必死だった。しかし、とてもエキサイティングなレースだった」

「我々のトヨタ・カムリはとても好調だったが、スピードでは18号車と21号車には届かなかった。体力的にもとても厳しかった今日のレースでトップ5フィニッシュができて最高だ」



NASCAR XFINITY SERIES
第12戦 Pocono Green 250
開催日:6月10日

ダニエル・スアレツがペナルティから追い上げ5位
 6月10日(日)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第12戦「Pocono Green 250」がポコノ・レースウェイで開催された。
 
 カップ・シリーズでは長い歴史を持つポコノだが、エクスフィニティ・シリーズは昨年初めて開催。今大会が2度目となる。

 10日(日)午前中の予選に続き、午後1時24分、2.5マイルトライアングルオーバルを25周、25周、50周の3ステージ合計100周(250マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタートした。
 
 今大会がシリーズ参戦2戦目となる19歳のルーキー、カイル・ベンジャミンが自身初のポールポジションを獲得。デビュー2戦目のポール獲得はシリーズ9人目。
 
 ベンジャミンはポールから自身初のリードラップを獲得すると、そのまま独走。21周にわたって首位を快走したが、惜しくも終盤にかわされ、ステージ1を2位でフィニッシュした。

 昨年のシリーズチャンピオンで、今季はカップ・シリーズにフル参戦しているダニエル・スアレツは7番手スタートから5位でステージ1フィニッシュ。今季よりシリーズにフル参戦しているマット・ティフトは31番手と後方スタートからポジションを上げ15位でステージ1を終えた。

 この日、ステージ1とステージ2は全くイエローコーションの出ない展開となり、各車ピット戦略が分かれた。ステージ2でもベンジャミンは2位と好走。ティフトが9位とトップ10入り。スアレツはステージ終盤にピットインする作戦をとり22位。

 ステージ3前のコーションで、ベンジャミンとスアレツはピットに入らず、2位、3位で再スタート。すぐにベンジャミンが首位に浮上した。

 66周目、最後まで走り切れる周回となったところで、首位のベンジャミンがグリーンフラッグ下でピットイン。これで首位となったスアレツも翌周ピットへ。しかし、スアレツはここで痛恨のピットロードスピード違反。大きく順位を落として締まった。

 78周目にイエローコーションが出され、各車ピットへ向かったが、トヨタの3台はコースに残る作戦に。ベンジャミンが6位、ティフトが7位、スアレツが10位で残り16周で再スタート。

 この再スタート時にベンジャミンは他の車両と接触し、ハンドリングに不調をきたして後退。ティフトは一時3位までポジションを上げたが、その後タイヤの摩耗に苦しみ、新しいタイヤを装着したライバルの先行を許すことに。

 ペナルティで大きく順位を落としながら、ピット戦略と着実な走りでポジションを上げていったスアレツがトヨタ勢最上位の5位フィニッシュ。
 
 ティフトも10位でチェッカーを受け、今季4度目のトップ10フィニッシュを果たした。デビュー2戦目で好走を見せたベンジャミンは16位でレースを終えた。

 次戦第13戦は6月17日(土)、ミシガン・インターナショナル・スピードウェイで行われる。

ドライバー ダニエル・スアレツ
「チームが素晴らしい仕事をしてくれた。作戦も上手く行き、ポジションを上げることができたが、ピットロードでのスピード違反を取られてしまった」

「限界ギリギリまで攻めていると時にほんの少し行きすぎてしまうこともある。私のミスだし、これもレースだ」

「5位よりはもう少し良い位置を狙える速さはあったと思うが、残り25周で20位以下という状況を考えれば悪くない結果だ。とはいえ、もう少し上でフィニッシュしたかったというのが本音だ」

NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第7戦 winstaronlinegaming.com 400
開催日:6月9日

クリストファー・ベルが今季2勝目!

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第7戦「winstaronlinegaming.com 400」が6月9日(金)に米国南部テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイで開催された。
 
 この週末、NASCARの他の2シリーズは遠く離れたポコノで開催されており、トラック・シリーズのみテキサスでのレースとなる。
 
 米国で販売されている市販車のトヨタ・タンドラは、全てがテキサス州にある工場で製造されており、トヨタ・タンドラにとってテキサスはホームコースと言える。
 
 トヨタはトラック・シリーズでテキサスを得意としており、参戦初年度の2004年に勝利を挙げて以来、過去16勝(年2戦開催)を挙げている。

 9日(金)午後7時20分に1.5マイルハイバンクオーバルを40周、40周、87周の3ステージ合計167周(250.5マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。
 
 シリーズ参戦9戦目の18歳ルーキー、ノア・グラッグソンが自身初のポールポジションから、6周にわたってキャリア初のリードラップを獲得。

 そのグラッグソンを7周目にかわし首位に浮上したのは、2度のシリーズチャンピオンであり、ここテキサスでも2014年、2015年と2勝を挙げているベテランのマット・クラフトン。

 また、今季1勝を挙げ、目下ランキング2位、そして木曜日の3回の練習走行では全てトップタイムをマークしながら、予選では21番手と後方スタートを余儀なくされたクリストファーベルは、序盤から猛烈な勢いでポジションアップ。ステージ中盤には4位へ。

 ステージ1はベルがトヨタ勢最上位の2位、クラフトンが3位、前戦3位フィニッシュを秦氏がグラント・エンフィンジャーが4位、カップ・シリーズを戦うマーティン・トゥルーエクス・Jr.の実弟ライアン・トゥルーエクスが7位、18歳のルーキー、ノア・グラッグソンが8位、ベン・ローズが10位に入った。

 ステージ2はスタート直後からクラフトンがタイヤの不調に見舞われ後退。グラッグソンとベルが首位を追い、残り10周で首位を奪ったベルがステージ2を制した。
 
 ライアン・トゥルーエクスが6位、エンフィンジャー7位、グラッグソン8位、ローズ10位と若手勢が強さを見せた。

 ステージ3はイエローコーションが頻発する荒れた展開となったが、度重なる再スタートを上手く決めてベルが首位をキープ。残り7周で発生したコーションのため、レースは最後の2周で決されることに。
 
 首位を逃げるベルと、追うチェイス・ブリスコー(フォード)が真横に並んだままファイナルラップに入った直後、後方グループによる多重クラッシュがフロントストレッチで発生。
 
 巻き込まれた一台がイン側グラスエリアで激しく横転。ドライバーは無事だったがレースは赤旗に。
 
 その後レースは再開されたが、ファイナルラップに入っていたため、イエローコーションのままチェッカー。最多の92周で首位を走行したベルが今季2勝目を挙げることとなった。隣州オクラホマ州出身のベルにとっては、ホームとも言えるテキサスでの初勝利。
 
 エンフィンジャーは2戦連続の3位。ライアン・トゥルーエクスは今季2度目の4位フィニッシュ。ローズが5位、グラッグソンが7位、クラフトンが9位に入り、トヨタ・タンドラはトップ5に4台、トップ10に6台が入る活躍を見せた。

 次戦第8戦は6月17日(土)に米国中部イリノイ州マディソンのゲートウェイ・モータースポーツ・パークで開催される。

ドライバー クリストファー・ベル
「やっとここテキサス、自分にとってのホームコースで勝つという夢が叶った」

「僕の自宅はここから数時間のところにあり、この周辺やここのマイクロスプリント用コースで数多くのレースを戦ってきたが、当時はダートトラック小僧で、舗装の、このコースでレースを戦い、勝てるなんて思ってもいなかった」

「トヨタ・タンドラもテキサスで製造されているし、ここで勝てたというのは本当に大きな意味がある。最後は彼(チェイス・ブリスコー:フォード)とのバトルに夢中でホワイトフラッグ(ファイナルラップを示す)も見えていなかった」

「チェイスと僕は子供の頃からの本当に仲の良い友達で、こうしてトラック・シリーズで首位を争えたのは嬉しい」