2017年シーズンのF1はオーバーテイクが困難であるという懸念がある中、経営陣はマシン同士の接近戦を容易にするため、FIAとの共同研究プログラムを始めている。
フェラーリの復活によってグリッドの前方では接戦が繰り広げられているが、今シーズン中に首位争いでオーバーテイクをしたのは、スペインGPでルイス・ハミルトンがセバスチャン・ベッテルを追い抜いた1回のみである。
F1のスポーツ面を取り仕切るロス・ブラウンはカナダGPの金曜日、オーバーテイクが難しいことは周知のものだと述べた。
ブラウンは、自らが起用したエンジニアリンググループがその幅広い役割の一部として、接近戦ができるマシンをどのように作り出せるか研究を行っていると付け加えた。
ブラウンはまた、フェラーリ、メルセデス、レッドブルの上位3チームと、それ以外のグループとの間に大きな差があることへの懸念を示している。
「今シーズンは幸運なことに2つのチームが非常に激しくトップを争っているが、それを自分の功績だと言うつもりは毛頭ない」とブラウンはレースのショーとしての印象について答えた。
「タイミングがちょうど良かっただけだ」
「だが現状を鑑みて、この競争状態がこの先も確立されるように、何かしらの手段を取らなければいけないだろう」
「トップと中団グループの間には少なからぬギャップがあり、気にかける必要がある」
「今年のマシンがどれだけ競い合えるのかということに関して、我々はまだ理解を深めているところだ」
「マシンのデザインを検討し、より競い合えるものにするには将来的に何ができるかを知るための空力の調査を始めたばかりだ」
「こうしたことはFIAとともに行っており、研究プログラムとして開始している」
ブラウンは接近戦の問題をオーバーテイクだけに焦点を絞っているのではなく、現在のダウンフォースレベルを維持しつつショーとしての面を改善する動きもあると述べた。
「私はオーバーテイクのためのワーキンググループとは呼びたくない。なぜならそれは我々がやろうとしていることではないからだ」
「現在のマシンのデザインを検討し、将来的に接近戦を行えるマシンを作るためのワーキンググループを作ろうとしている。ドライバーからのフィードバックによると、今は接近戦が難しいからだ」
「マシンのパフォーマンスが空力に依存していることは承知している。空力などを取り除けばすべてが良くなるという見方もあるがそれは甘い考えだ」
「事実として、空力がなければショーとしての見せ場もなくなるし、現在のようなスピードも出ない。大きなタイヤを履かせて、できるだけ速くなりますようにと願っただけでは、そうはならない」
「だから空力は保持しつつ、マシンが競い合えるようなやり方をする必要がある。推測するのではなく、確立していかなければならない」
「先入観は避けるようにしている。幸いなことに、現在いくつか素晴らしいレースが展開されている。将来こうした競り合いが一貫して起こるようにしていく必要がある」