仕事と家事、子育てを両立させる男性が「イクメン」と持て囃されて久しい。内閣府男女共同参画局はさらなるイクメンの増加を期待し、男性の炊事知識や技能取得を促す「"おとう飯"始めようキャンペーン」を開始した。
「時間があって必要性に迫られれば男性だって料理する」
6月9日に公開されたサイトには、おとう飯の定義が
「これまで料理なんかできないと思っていたあなた、立派な料理を作らなければいけないと思っていたあなた。いいんです。"おとう飯"なら、いいんです!簡単に、手間をかけず、見た目が多少悪くても、美味しければ、それが"おとう飯"」
と記載されている。
このキャンペーンが6月13日、NHKなどで報じられると、女性を中心に「おとう飯なら立派な料理じゃなくてもいいんですか。じゃあおかあ飯は良くないんですかね……」などの疑問が相次ぐ事態となった。男性からも
「男を舐めてるでしょ。おとう飯。時間があって必要性に迫られれば男だろうがやるだろ」
「俺はずっと前から作ってるし、独身の者だっていつも外食なわけではないだろう?」
といった声があり、取り組みを歓迎する声は男女とも皆無に等しい。
内閣府「男の料理だから見栄えが悪くても良い、女性はだめ、という意図はない」
男女共同参画局の広報担当者はこうした声について「今のところ私共では存じ上げておりません」と述べた上で、キャリコネニュースの取材に対し
「見た目や盛り付けはさて置き、味だけに気を配ってもらうことで、『こんなに簡単に作れるんだ!』と、料理に対する心理的ハードルを下げてもらおうと企画しました。男の料理だから見栄えが悪くてもよい、女性はだめという意図はありません」
と企画の趣旨を説明した。普段料理をしない男性がキッチンに立つきっかけを作りたいだけであって、他意はないということのようだ。
ただ、ツイッターには、男性が料理をしない理由は知識や技能の欠如ではなく、時間の無さにあるという指摘も多い。料理のハードルを下げるより、長時間労働時間の是正や賃金上昇などの労働問題解決が先だという意見も出ていた。
2011年の調査によると、日本の男性の家事時間は1日平均67分だという。政府は2020年までに、これを150分に増やす目標を掲げている。絵に描いた餅で終わらないと良いが、実現までの道のりは険しそうだ。