ル・マン24時間レースの公開車検2日目は、ル・マン市内のリパブリック広場で晴天のもと行なわれた。前日よりも気温・湿度ともに低い、カラっとしたヨーロッパらしいコンディションのなか、午前9時30分にトップバッターの49号車の参加受付が開始された。
午前10時前に会場に姿を見せたのは、GTEアマクラスのクリアウォーターレーシングから出場を果たす、加藤寛規と澤圭太のふたり。テストデーのあと、加藤は鈴鹿のスーパー耐久、澤はアマチュアのコーチ業務で中国に向かっており、日本時間日曜夜発の飛行機に乗って、月曜早朝にパリ着、タクシーとTGVを乗りついで、8時半頃にル・マン駅に到着したという。
今年WECにフル参戦している澤は「セットアップの進行度合いとしては、半分くらいはいい方向が見つかっていて、レースウイークに路面が良くなってきたときに、もうちょっと進めるか、このへんでいいのか、判断をすることになるでしょう」と、テストデーまでの現状を語る。
「借りているシャトーの周りを5kmランニングするのが日課なので」とル・マンでのコンディショニングも充分。「加藤さんもル・マンの経験も豊富ですし、いまも日本のレースで活躍されているドライバーなので、日本人としてのベンチマーク。とはいえクルマも違うので、いい意味で気にしすぎず、自分たちのやるべきことに集中してやっていきたい」と意気込みを語った。
一方、9年ぶりのル・マン出場となる加藤は、「もちろん参戦はうれしいですけど、ちゃんとしたチームだし、自分もちゃんとしなきゃいけないから、これは大変だぞ、と(笑)。9年前とだいぶ環境も変わっているし、このレースは速さだけでなく強さが必要で、クルマとタイヤをしっかり理解しないといけないから、どこまで帳尻をあわせられるかっていうのがあるんですが、全部をうまく扱うにはまだまだトライしないとなぁという感じです」と、少ない時間のなかで“ル・マンモード”へのすり合わせの渦中にあるようだ。
■平川亮「クルマは悪くない」と語るも「信頼性はほとんどない」
続いて日本勢で姿を見せたのは、Gドライブ・レーシングからLMP2に参戦する平川亮だ。テストデー後もずっとル・マンに滞在し、モンサンミシェルに行くなど、リラックスして過ごせたという。
「テストデーの午後はサスペンションのトラブルが出て、早々に終わりました。でも、(クルマは)悪くないと思います」と平川。今年のLMP2には開幕から電気系のトラブルが頻発しているが、「心配しかしてません。信頼性はほとんどないです」と平川は言い切る。
「でも走り方でブレーキいたわったりとか、縁石に乗らないとかはできるので……テストデーに壊れたやつは、振動で壊れたので。レース中はそれを避けるくらいしかできないんですが」
水曜からのレースウイークでの走行では、テストデーでのトラブルによって確認できなかったミディアムタイヤでのロングランからスタートすることになるという。「僕らは予選よりも決勝に重きをおいてやっているので、一発のタイムは気にしていません。ライバル勢では、26号車と35号車はラインアップがいいので、手強いなと感じています」と平川。
2回目のル・マンに挑む平川は今回、予選アタックと決勝スタートを担当するという。それは夜中の走行も担当することを意味するが、「昨年も走ってますし、トヨタ(LMP1)のテストでも夜中は走っているので、とくに心配していないです。逆に、夜の方がいいです。普段明るいところ走っているので、新鮮じゃないですか」と、平川はいつもどおり飄々としている。
「ル・マンはいかに100%を超えずに走るか。メンタル面が大事だと思います。普通に完走すれば表彰台に乗れると思うので、落ち着いてやっていこうと思います」と、物静かながらも力強い調子で語った。