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琢磨がインディ500制覇をホンダ青山で凱旋報告「あの叫びは僕の純粋な気持ち」

2017年06月13日 14:22  AUTOSPORT web

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凱旋報告取材会でインディ500制覇の喜びを語る佐藤琢磨
13日に都内で日本人初のインディ500ウイナーとなった佐藤琢磨の凱旋報告取材会が報道関係者向けに行われた。多くの取材陣が参加するなか、インディ500制覇の喜びを語った琢磨は、インディカー後半戦での活躍を誓った。

 2週間に渡って走行が行われ、5月28日に決勝レースが行われた第101回インディ500。予選4番手から挑んだ琢磨は、残り5周でトップに立つと3度のインディ500ウイナーであるエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)をおさえ日本人初のインディ500制覇という偉業を成し遂げた。

 インディカーは2週に渡って連戦が行われ、6月12日に優勝後初めて日本に帰国した琢磨は、13日の凱旋報告取材会に臨んだ。

 取材陣の前に現れた琢磨は笑顔で「本当にやりました! うれしいです。こうして優勝報告をホンダの青山でステージを設けていただき幸せに感じます」とコメント。

「この優勝は僕自身にとって非常に大きな意味を持ちます。ここまで僕を信じて、ずっと応援してくださったホンダさん、スポンサーの皆様、そしてなによりもファンの皆さんとこの喜びを分かち合いたいです。今なんて言葉に表現したらいいのかわからないくらい感謝の気持ちでいっぱいです」

「ホンダとずっと一緒に第一線で走らせていただき、2010年には北米のインディカー・シリーズに挑戦しました。そこから今年で8回目のインディの挑戦。戦歴はF1をも超えました」

「2012年のインディ500。挑戦者としてファイナルラップにトップを走るダリオ・フランキッティを抜こうとして最終ラップの1コーナーでインからいきました。しかし、自分自身も至らないところもあり、ダリオの強さ、インディ500を勝つ難しさを痛感した一瞬でもありました」

「彼の巧妙な素晴らしいディフェンディングに負け、僕は白線にタイヤを落としスピンしてしまいリタイア。本当にあと2.2マイルくらいだったと思います」

「しかし、その後もインディ500は勝つために5年間挑戦してきました。そして今年、アンドレッティ・オートスポートに移籍して素晴らしい環境を手に入れました」

■残り5周は「頭はホンダエンジンと同じくらいフル回転」

「近年におけるアンドレッティ・オートスポートのインディ500の強さは目を見張るものがあります。チームは初日から素晴らしいプログラムを作ってくれて。あの勝利はチーム全員の力だと思っています」

「ひとつひとつのピット作業を確実にこなしてくれたクルー、最高のクルマを用意してくれたメカニックたち、素晴らしいクルマを作ってくれたレースエンジニア、そしてストラテジー。すべてが整い、それを僕自身が想いを乗せて走って、素晴らしい経験になりました」

「ラストの5周、トップに出てからいろいろなことを考えました。2012年のレースからインディ500ではトップで逃げ切ることが難しくなっています。最終ラップまで先頭を走りたくないという傾向が数年ありました」

「なんで5周でトップに出ていったんだとチームもファンのみんなもすごく心配したと思うんですね。僕には勝算がありました。残り5周あれば、どんな状況でも自分で巻き返すことができる。頭はホンダエンジンと同じくらいフル回転していました」

「残り2周でエリオが挑戦をしてきて、彼は抜きに行きたいんではなく行けないんだと思いました。シミュレーション通り彼がやってきて、そこからは予選のような走りでした」

「絶対にリヤを滑らせないように一生懸命走り、最後ホワイトフラッグが振られたときはミラーを見ることなく、スポッターの声でエリオの距離をイメージしました」

「ストレートごとに違う動きをして、エリオにパターンを読まれないようにして逃げ切ることができました。最終ラップの最終コーナーを超えて加速を得られたときは、このレースは自分たちが勝つんだと実感した瞬間でした」

「本当はすぐにみんなにありがとうといいたかったんですけど、言葉にならなかったですね。無線のスイッチがオンになっていることに気づかず、ヘルメットの中で叫び続けていました。あれが僕の純粋な気持ちを表しています。挑戦し続けて夢が叶った瞬間でした」

「ウイナーズサークルに帰ってくる間にみんなが応援してくれて、特に昨年まで所属していたAJフォイトのクルーが全員ウォールを超えてきてくれたのでハイタッチもしました」

「その時のみんなの笑顔や、アンドレッティ・オートスポート全員の笑顔を忘れられません。そして、牛乳は最高の味でした」

「この喜びをたくさんの方に知っていただきたいです。海外で勝負するということは、不安になることもありますし、モータースポーツはとても厳しい世界です。それを奮い立たせるのはモチベーションです」

「モチベーションは、自分自身の目標からもきますし、日本から海外に出て行ってトップに立ちたいという気持ちもすごく大きいです。世界で戦うアスリートたちの活躍をみて、影響を受けて奮い立たせて、ひとつの明るいニュースを届けられたと思います」

「このニュースを多く取り上げていただき、インディ500、モータースポーツの魅力をたくさん伝えてほしいです。そして、なにより復興地の方にいちばん届けたいです」

「僕自身、復興地の子供たちを支援する「With you JAPAN」というプログラムをずっとやってきました。今年改めて、夢を持つことの大切さ、挑戦し続けることの楽しさを学んだような気がします。これを日本の多くの子供たちに伝えていきたい。そして、復興支援に繋げていきたい。この勝利を皆さんと一緒に分かち合いたい」

「ホンダの一員として、ここまでこれたことに感謝と共に誇りに思います。新たな夢もできました。シリーズは3位につけています。9月まで目一杯走って、チームと共に選手権タイトル獲得を大きな目標として頑張っていきたいです」

 感謝と新たな目標を凱旋報告で語った琢磨。琢磨のコメントが終わると本田技研工業株式会社の社長を務める八郷隆弘氏がお祝いを述べ、琢磨が開発に携わったNSXもプレゼントされた。