ロス・ブラウンは、今後のF1のテクノロジーが進化していく方向を、市販車産業でのトレンドにどれだけ近づけるか今一度検討するべきだと考えている。
F1は、各マニュファクチャラーが新エンジンへの移行と、新しいパワーユニットとそれぞれの市販車との間で開発面での相乗効果が生まれることを望み、2014年にV6ハイブリッドターボエンジンに切り替えた。
しかし、今年の始めにFIAと各マニュファクチャラーとの間で、現行のパワーユニットのレギュレーションは2021年からは安価でよりシンプル、そしてより音の大きなエンジンに置き換えられるべきとの合意に至った。
新しいレギュレーションに関する協議はF1のスポーツ担当マネージングディレクターのブラウンを交えて続けられているが、自動車産業がロボットカーと燃料電池技術の推進へと向かっていることから、ここから手がかりを得ることに対してブラウンは慎重だ。
「エンジンは我々がきちんと理解しなければならない重要な要素だ」とブラウンはカナダで語った。
「FIAと各チーム、そして関連するタイヤサプライヤー各社とともに、現時点で我々がどのようなエンジンを今後望むかを理解するため議論を重ねている」
「F1は岐路に立っているだろう」
「自動車の世界は今や燃料電池車、電気自動車、ロボットカーなどの違う方向へ向かっており、それはF1とは違った方向だ」
「将来に向け、適切な未来をどうやったら見いだせるだろうか」
モータースポーツ ネットワークによって実施された調査では、ファンはテクノロジーの面でF1が最先端を行くことを望んでいるという結果が出た。
2015年に行われた前回の調査から、F1におけるテクノロジーの重要性を強調するファンの数は19.1パーセントの増加をみせた。
これまでにブラウンは、F1がNASCARのような公開車検のコンセプトを取り入れることを示唆している。それはF1に関連するテクノロジーをサーキットや自宅で観戦しているファンたちに向けて発信するものだ。
カナダでブラウンは、テクノロジーはF1の重要な要素であり続けることに同意を示したが、優れたレースとの調和が実現されるべきだと主張した。
「我々にはファンを魅了する方向性が必要だ。もしF1を観戦してくれるファンがいなければ、我々には何もない」
「重要であるがゆえF1に残さなければならない技術的挑戦だが、それが競技の妨げにならないようバランスをとる必要がある」
「各チームの姿勢はとても肯定的だ。FIAとともに、我々は将来へ向けて優れた解決策を模索すべく努力している」