2017年06月12日 18:14 弁護士ドットコム
神戸市内の路上で、乗用車内に「はさみ」を持っていたとして、銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕された男性会社員が、その後「誤認逮捕」として、釈放されていたことがわかった。報道によると、兵庫県警は謝罪したという。
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銃刀法は、刃渡り(刃体の長さ)が「6センチ」を超える「刃物」の携帯を禁じている。一方で、「はさみ」の場合、刃渡り「8センチ」以下まで携帯できることになっている。報道によると、この車内からみつかった「はさみ」は、刃渡り「7.5センチ」だった。
今回のケースでは、署員の勘違いが原因だったということだが、銃刀法の「刃物」をめぐっては、これまでも「誤認逮捕」のケースが報告されている。警察も間違えてしてしまう規制のポイントについて、確認してみたい。
銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)はそもそも、特別な許可を受けた場合など、正当な理由なく「刀剣類」を所持することを禁止している。「刀剣類」とは、次のように規定されている。
(1)刃渡り15センチ以上の刀、やり、なぎなた
(2)刃渡り5・5センチ以上の剣、あいくち
(3)45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ
一方で、包丁やナイフ、はさみは、「刀剣類」でなく「刃物」とされている。刃物も、使い方によっては、人を殺傷する性能があるが、仕事や生活上の道具として必要であることから、所持までは禁止されていない。
ただし、正当な理由なく、携帯すること(たとえば外に持ち歩くなど)が規制されている。
刃体の長さによって、違法かどうかわかれる。銃刀法は原則として、刃渡り「6センチ」を超える刃物について、業務や正当な理由なければ、携帯することを禁止している。
(ⅰ)業務にあたる典型例
料理人が仕事のために、カバンに入れて持ち歩く
(ⅱ)正当な理由にあたる典型例
工具店などで購入して、自宅に持ち帰る
(ⅲ)正当な理由にあたらない例
からまれたときの護身用として持ち歩く
ただし、はさみと折りたたみナイフ、くだものナイフの場合、刃渡りが「8センチ」以下ならば、携帯の禁止から除外されている。形状については、次のように定められている。
(一)はさみ・・・刃渡り8センチ以下で、先端がいちじるしく鋭利でなく、かつ刃も鋭利でないもの
(二)折りたたみナイフ・・・刃渡り8センチ以下で、幅が1・5センチ、厚みが0・25センチをこえないもので、開刃した刃体をさやに固定させる装置のないもの
(三)くだものナイフ・・・刃渡り8センチ以下で、厚みが0・25センチをこえず、先端が丸みを帯びているもの
なお、軽犯罪法では、正当な理由なく、刃物を「隠して携帯する」ことが禁止されている(軽犯罪法第1条2号)。したがって、銃刀法で禁止されていない長さでも、はさみやナイフを持ち歩くことが、場合によっては取り締り対象になる。持ち歩く際には、注意が必要だ。
(弁護士ドットコムニュース)