今シーズン初入賞に向けて、チェッカーフラッグまで残り2周で見舞われたエンジンブロー。ヘアピンでマシンを止めたフェルナンド・アロンソは、コクピットを降りるために外したヘッドレストを外へ大きく投げて、怒りをあらわにした。
その後、タイヤバリアの外側に避難したアロンソは、バイクに乗ってパドックに帰る前に、満員のスタンドへ駆け上がった。
「カナダのファンの応援は素晴らしいから、何かお礼したいと思ったんだ。それでスタンドに行って、声援を送ってくれた人たちにグローブをプレゼントしたんだ」とアロンソは語った。
ファンと交流を図って、なんとか気持ちを鎮めようとしたアロンソだが、さすがに今回のエンジンブローには気持ちが収まらなかった。パドックに帰ってきたアロンソは、FIAによって定められている各国のテレビ局が待っているミックスゾーンでの取材に向かった後、レース後に予定されているチームのミーティングに顔を出さずに帰ってしまったのだ。
「うまくレースマネージメントをして、最後ああいう形で終われば、フラストレーションがたまるのは当然だと思います。命を賭けて走っているわけですから……」
インディ500でもエンジンブローでリタイアしたアロンソは、カナダGPが始まる前からメディアを通してホンダへプレッシャーをかけ続けていた。
「僕は勝ちたいし、このプロジェクトでもう一度、ワールドチャンピオンになりたい。でも、いま僕らはそのポジションにはいない。このまま何も変わらず、コンペティティブなポジションに戻ることができないのなら、考えを変えようかなと思うのも当然だろう。ずっと言い続けている通り、決めるのは夏休み後だ」
そのような状況で起きた今回のエンジンブロー。怒りが収まらないアロンソはこうも語った。
「この1ポイントを逃したという事実は僕だけでなく、日夜努力してクルマを準備し、戦略を立てて、レースに送り出してくれたチームのみんなも、大きく失望させる結果となったんだよ!!」
エンジンを1基失ったアロンソは、次戦バクーで新しいエンジンを使用することとなる。「バクーでは最後尾からスタートするだろう。ジェンソンがモナコでパワーユニットを交換し、最後尾からスタートしたからね」とテレビ局に語ったが、ブローしたアロンソのエンジンは3基目。バクーで新エンジンを投入しても4基目なので、ペナルティの対象とはならない。ただし、すでに5基目を投入しているターボとMGU-Hを新しいスペックに交換すると、10番手以上の降格となる。
ミーティングに参加することなく、モントリオールを後にしたアロンソ。そこにどんなメッセージが込められていのか。