WorldRX世界ラリークロス選手権の第6戦が、6月9~11日にノルウェーのヘル・サーキットで開催され、PSRXフォルクスワーゲンRXチーム・スウェーデンのヨハン・クリストファーソンが、右足を負傷するアクシデントに見舞われるなか、執念の走りで2017年シーズン2勝目を挙げた。
まさかの事故は、金曜プラクティスのグリッド上で起きた。
「運の悪いことに、僕の右足の上にセバスチャン(・ローブ)のマシンが乗り上げてしまったんだ。下敷きになった足を抜くためには、彼にバックしてもらわないといけなかった」と、クリティカルな状況を振り返ったクリストファーソン。
「本当に痛かったけど誰かが悪いわけではなく、こうした事故はつきものなんだ。セミファイナルとファイナルの間に十分な時間がなかったので運が悪かったけど、鎮静剤に助けられたよ。月曜の早朝には病院に行って、改めて検査を受けるつもりだ」
そんな手負いの状況だったにもかかわらず、クリストファーソンのフォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカーは前戦からの好調をキープ。
予選ヒートから速さを見せ、Q3でトップタイムを記録すると、チームメイトで同じくポロをドライブするペター・ソルベルグもQ4で最速をマークし、そろってセミファイナル進出を確定させた。
しかし、その準決勝ヒート1ではペターがまさかの4位敗退。ファイナルはクリストファーソン、セバスチャン・ローブ(プジョー208WRXスーパーカー)、ローブのチームメイトのティミー・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー)、予選Q2最速の地元ノルウェー人、アンドレアス・バッケルド(フォード・フォーカスRS RXスーパーカー)、2016年王者のマティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクワトロ)、そして今季初の決勝進出となるティマー・ティマジャノフ(フォード・フィエスタRXスーパーカーEvo.3)の6台で争われることとなった。
決勝のスタートで最速の反応を見せたのは、ペターなきファイナルで母国ファンの声援を一身に集めたフーニガン・レーシング・ディヴィジョンのバッケルド。
オープニングラップで首位に立つと、2周目には早々にジョーカーラップへとステアリングを切り込んだ。しかしこの判断が、結果的にバッケルドのレースを難しくすることとなってしまう。
「ヨハンは本当に速く、僕は2周目にすぐジョーカーを消化することに決めた。でも、最初のコーナーでわずかにワイドになってしまい、貴重なタイムを失うことになった。それでヨハン(・クリストファーソン)に先に行かれてしまったんだ」とバッケルド。
その後方では、プラクティスでエンジン不調を抱え、セミファイナルまでに載せ替えを敢行したローブのプジョー208WRXが、取り戻したストレートスピードを活かしてエクストロームを封じる走りを披露。
「セミファイナルまでに載せ替えたエンジンのおかげで、ファイナルのセカンドロウを得ることができた」とローブ。
「そのファイナルではさらに良くなり、エクストロームとのバトルではストレートラインの速度を活かして、彼に対しドアを閉めることもできた。トップ2のペースには届かなかったが、今後もマシンのアジリティを改善していく必要があるね」
最終的にマシンのスピードを見せつけたクリストファーソンが、鎮静剤を打った手負いの右足で見事なドライビングを披露し、2017年シーズン2勝目をゲット。2位にバッケルド、3位にローブの表彰台となった。
痛みに耐えながらも笑顔を見せたクリストファーソンは「ドライ路面では本当に速かったし、いいセットアップも見つかっていた」
「練習走行の雨と、予選Q4でのパンクだけが週末の不安要素になったけど、ファイナルでアンドレアス(・バッケルド)を抑えてからは、マシンは本当に飛ぶような勢いで走ってくれた」
「怪我の状況を確認してからだけど、次週はSTCC(スカンジナビアン・ツーリングカー選手権)のレースをして、その翌週は再びWorldRXのホルヘ戦(母国スウェーデン)が待っている。過去あまりうまくいっていないホームラウンドだけど、どうなるか楽しみだね」
一方、2位表彰台のバッケルドも「僕にとっては今週がホームラウンドだったし、ヨハンにスウェーデン国旗を一番高いところに掲げられたのは悔しいけど、でも彼は本当にフェアで速かったからね」とライバルを称えた。
これで選手権スタンディングでクリストファーソンがリードを8ポイントに拡大。2位にエクストローム、3位にソルベルグと続いている。
次戦、そのクリストファーソンの母国ラウンドとなるスウェーデン・ホルヘ戦は6月30日~7月2日の週末に開催される。