6月17~18日に決勝が行なわれる第85回ル・マン24時間レース。そのレースウイークの始まりを告げるのは、例年どおりル・マン市内中心部のリパブリック広場で行なわれる公開車検だ。今年も11、12日の2日間に分かれて、ル・マンを戦う全60台がファンの前に姿を見せる。
車検はあらかじめ公開されたタイムスケジュールに沿って各マシンのチェックが行なわれるのと同時に、ドライバーは参加受付やACOフランス西部自動車クラブの公式写真撮影、ステージでのトークショーやメディア対応などを行ない、最後にはお決まりのチーム集合写真を撮影する流れ。今年は初日にポルシェLMPチーム、2日目にトヨタが登場するスケジュールが組まれている。
初日となった日曜は、午前中はカラっと晴れていたものの、午後からは薄い雲が広がり、湿気が多く蒸し暑いコンディションとなった。いよいよ始まるという熱気はそこかしこから感じられるものの、アウディ撤退の影響もあるのだろうか、日曜としては例年よりも観客の数がやや寂しいように感じられた。
14時の参加受付開始に向けて、各マシンが続々とサーキットから運ばれてくる。今年のLMP2クラスでは“3台のみ”とややレアなダラーラP217やLMP1ノンハイブリッドクラスのバイコレスENSO CLM P1/01 NISMO、さらに特徴的なカラーリングが施された50号車ラルブルコンペティションのコルベットなどが注目を集めるなか、14時半にはさっそく、この日の目玉である2台のポルシェ919ハイブリッドが広場に隣接するローディングエリアに姿を見せた。
ローディングエリアはフォトグラファーもアクセスできるため、写真を撮られることを嫌ってか、ポルシェの2台は黒いカバーをかけられたままトランポから降ろされた。さすがにこの頃には観客の数も増え始め、人でごった返す一般エリアを歩くのも容易ではなくなってくる。
やがて広場にはポルシェLMPチームのドライバーたちも姿を見せ、メディアの取材に応えた。1号車のニール・ジャニはテストデーでのトヨタとの差について、「彼らは冬の間にいい仕事をしたんだと思う。素晴らしいスピードとラップタイムだったよね。彼らをどうやって倒すか、僕らはよく考えなきゃいけないけど、簡単なことではないね」と語る。
今年はLMP2クラスのスピードが上がっており、ル・マンでそれがどう作用するかも注目が集まっているが、「僕らよりも下のクラスの方がストレートエンドで速いっていうのは、ちょっと不思議な現象だよね。もちろんそれは、ストレートエンドで危険な状況を生み出すかもしれない。とくに、LMP2にはプロではないドライバーもいるからね。そうなってほしくはないけど。ただ別の視点から見ると、僕らがいかに優れたテクノロジーを持っているかも分かる。ストレートでは負けているのに、ラップタイムでは10秒も速いんだから。最高速がすべてではないよ」とジャニ。
17時、予定よりもだいぶ押してポルシェが2台での集合写真を撮影し終わり、マシンがふたたび黒いカバーをかけてトランポに積み込まれると、広場の観客も徐々に帰路についていった。
車検2日目の月曜は、午前中からスケジュールが始まる。LM-GTEアマクラスに挑戦する加藤寛規と澤圭太、さらにはLMP2クラスの平川亮といった日本人ドライバーたちも登場。午後からはいよいよトヨタTS050ハイブリッドの3台も、リパブリック広場に姿を現わす予定だ。ル・マンは明日の天気予報も晴れ、気温は23度程度まで上昇すると予測されている。