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S耐第3戦:相性のいい鈴鹿でY‘s distraction GTNET GT-Rが久々の勝利

2017年06月12日 08:42  AUTOSPORT web

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鈴鹿戦は4年で3勝と抜群の強さを見せたY‘s distraction GTNET GT-R
スーパー耐久シリーズ第3戦「SUZUKA“S耐”サバイバル」が、6月10~11日に鈴鹿サーキットで開催され、植松忠雄/星野一樹/藤波清斗組の99号車Y‘s distraction GTNET GT-Rが総合優勝を飾っている。

 鈴鹿サーキットが舞台のシリーズ第3戦は、「SUZUKA“S耐”サバイバル」の名に相応しく、予選と決勝の間に「セカンドチャンス100」と呼ばれる100分間の敗者復活戦を、昨年に続いて挟むことに。決勝は、絞り込まれた50台による、今年初の全クラス混走による4時間レースとして開催された。


 ポールポジションを獲得したのは、8号車ARN Ferrari 488 GT3の永井宏明/佐々木孝太組で、開幕から3戦連続だ。しかし、決勝においては佐々木がスタートを担当して「三度目の正直」を狙ったもののホールショットはかなわず。トップに躍り出たのはY‘s distraction GTNET GT-Rの藤波だった。

 スタートからしばらくは佐々木の猛攻を受けるも、バックマーカーが現れると徐々に差を広げるようになり、藤波は一時は12秒もの大差をつけた。しかし、20周目から最終コーナーで脱落したタイヤの回収のため、4周に渡ってセーフティカーが入り、せっかくのリードが水の泡となってしまう。

 そこで99号車は早々と植松への交代を敢行。代わってトップに立ったのは、コース上に留まることを決めた1号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井誠暢だった。60kgものウエイトハンデを積んで苦戦は覚悟のはずだった藤井ながら完璧なリスタートを決め、それだけで8秒のリードを築くことに。35周目に交代した内田雄大が、やがてトップに立つものと予想された。

 ドライバー交代まであと一歩と迫った57周目に、内田は130Rでバックマーカーに追突されて、足回りにダメージを負ってしまう。なんとかピットに戻って修復なるも、完全に勝機は失われてしまった。

 トップに返り咲いたY’s distraction GTNET GT-Rの星野が、そのまま逃げ続け、ラストスティントを再び担当した藤波もリードをキープ。チームにとっては2014年から2年連続で制し、昨年もチェッカー間際までトップを走って相性のいい鈴鹿で、久々の優勝を飾ることとなった。

「チームも僕も、鈴鹿ではいつも調子が良くて、絶対に勝ちたいと思っていたので、本当に良かった。今年はここまでトラブルが出まくっていたけど、これから巻き返していきたいと思います」と星野。

 2位は3号車ENDLESS ADVAN GT-Rの YUKE TANIGUCHI/山内英輝/元嶋佑弥組が獲得。スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが7位完走にとどまったため、1ポイント差にまで肉薄することとなった。


 ST-XクラスのFIA-GT3勢に続く、総合5位はST-1クラスで孤軍奮闘の31号車Nissoku Porsche 911 GT3 Cupを駆る影山正美/小川勝人/富田竜一郎組が獲得。

 そして総合6位にはST-3クラスの62号車DENSO Le Beausset RC350が入った。予選でもトップだったの嵯峨宏紀/中山雄一/山下健太組は、終盤に繰り広げられた後続の激しいバトルを尻目に、逃げ切りを果たしている。


「今回、僕が初めてスタートを担当して、38号車(muta Racing TWS IS350)には抜かれてしまったんですが、着いていければ勝つチャンスがあるだろうと。実際、そのとおりになったので、本当に良かったです」と山下。

 この勝利は今季初であるとともに、富士以外で挙げる初めての勝利ともなった。クラス2位は68号車埼玉トヨペットGreenBraveマークXの服部尚貴/脇阪薫一/平沼貴之組が獲得。終盤の脇阪、そしてmuta Racing TWS IS350の阪口良平とのバトルは、このレースのハイライトにもなっていた。

 ST-TCRクラスでは、トップを快走していた45号車LIQUI MOLY RS3 LMSの田ヶ原章蔵/白坂卓也/竹田直人組に、ラスト20分を切って燃料系のトラブルが発生。緊急ピットインを強いられ、「3戦連続の予選トップも、なかなか勝たしてくれませんね」と田ヶ原は悔しがる。


 これで優勝が転がり込んできたのが、Modulo CIVIC TCRの98号車を駆る黒澤琢弥/石川京侍/加藤寛規組だった。

「リスタートで僕のミスで、ペナルティを受けていたので、まさか勝てるなんて思わなかったので、すごく嬉しいです。特にホンダの地元の鈴鹿で勝てたということが!」と石川。

 一方、そのチームメイトで、「ザ・レジェンド」たる土屋圭市/幸内秀憲/道上龍組で挑んだ97号車は中盤の追突で足回りにダメージを負い、無念の4位に甘んじた。


 ST-2クラスでは予選トップだった、6号車新菱オート☆DIXCEL EVO Xの冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組を、中盤に逆転してトップに立った59号車DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至組が振り切って2連勝。

「この勝ちが今まででいちばん嬉しい。本当にギリギリの勝利でしたから。涙も出ちゃいました」と後藤。

 ST-4クラスでは、予選はトップだった86号車TOM’S SPIRIT 86の松井孝允/蒲生尚弥/坪井翔組だったが、25kgも積んだウエイトハンデが決勝では大きく影響を及ぼした。


 思うようにペースを上げられず、スタート担当の松井が徐々に順位を落としていたが、SCランで挽回し、続いた坪井と蒲生がトップを奪い返すことに成功した。

「僕と坪井選手は単独での走行だったので、自分のペースで走れましたが、混戦の中では松井選手は相当つらかったはず。チーム全体の力で、なんとか逆転することができて良かったです」と蒲生。

 2位には93号車SKR ENGINEERING ings S2000の太田侑弥/佐々木雅弘組が、3位は13号車ENDLESS ADVAN 86の小河諒/高橋翼/花里祐弥組が獲得し、3戦連続で同じチームが表彰台に立つこととなった。

 ST-5クラスでも、88号車村上モータースMAZDAロードスターNDの村上博幸/脇谷猛/加藤正将組が2連勝。


「憧れの鈴鹿で勝つことができて、本当に良かったです。SCがいいタイミングで入ってくれたことで、僕らは大量のマージンを築けました」と村上。2位は4号車THE BRIDE FITの芝谷純三/ススムナカムラ/伊藤俊哉組が獲得した。

 スーパー耐久シリーズ第4戦は、7月15、16日にオートポリスでグループ別2レース制の3時間耐久で開催される。