2017年06月11日 10:03 弁護士ドットコム
優待目当てに株式を買う人もいるほど、株主優待は至れり尽くせりの内容となっている。自社製品や割引券のほか、クオカードをもらえるケースもあるようだ。優待マニアの中には、それをさらに転売し、利益を得る人もいる。
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ネットのQ&Aサイトには「株主優待券をオークションに出したり、金券ショップで換金するのは違法ですか?」といった質問も寄せられている。また、税理士ドットコムの税務相談コーナーには、「金券、自社商品つめあわせやカタログギフトの優待を得ている」という人から、雑所得として確定申告は必要になるのか、という相談が寄せられている。
株主優待で得た商品を売買することに問題はないのだろうか。また、確定申告など注意が必要な点はないのか。山本邦人税理士に聞いた。
「1つ目の質問『株主優待で得た商品を売買していいかどうか』について検討します。
これは、その株主優待を提供している会社が有償での譲渡を禁止しているかどうかによります。割引券などを発行している場合は、有償での譲渡を禁止する文言が記載されていることが多いです。『有償譲渡禁止』『転売禁止』『本人の利用に限る』などと条件がつけられた企業の株主優待では、売買は禁止です。
逆に、有償での譲渡を禁止していなければ、売買しても問題はありません」
では、2つ目の「確定申告が必要か」という点については、どうだろうか。
「株主優待を受け取る際の注意点としては、金額によって確定申告が必要となることもあります。その際、受け取った商品の『時価』が雑所得となります。
会社で年末調整され、確定申告が不要な給与所得者であっても、年間の雑所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
また、仮に株主優待で得た商品が譲渡可能であった場合、時価以上の金額で譲渡すると、その時価を超えた金額が譲渡所得となります。これも雑所得と合わせて年間20万円を超える場合は、確定申告が必要になります」
【取材協力税理士】
山本 邦人(やまもと・くにと)税理士
監査法人にて経営改善支援業務に従事した後、2005年に独立。中小企業の財務顧問として業務を行う。税金面だけではなく、事業の継続的な発展という全体最適の観点からアドバイスを行う。
事務所名:山本公認会計士・税理士事務所
事務所URL:http://accg.jp
(弁護士ドットコムニュース)