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ホンダF1、マクラーレンとの関係悪化を強く否定も「早急に優れたアップデートを入れる必要がある」

2017年06月11日 06:12  AUTOSPORT web

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マクラーレンのザック・ブラウンとホンダF1長谷川祐介氏
マクラーレンのエグゼクティブディレクター、ザック・ブラウンが、ホンダはパフォーマンス改善に懸命に取り組んではいるが、方向性を見失って途方に暮れているようだと発言した。ホンダF1プロジェクト総責任者の長谷川祐介氏はそれを否定し、懸念されるマクラーレンとの関係についても、依然として結束は固いと強調した。

 ザック・ブラウンは、カナダGP直前の水曜、ロイターのインタビューに答え、期待していたカナダでのパワーユニットのアップグレードが導入されなくなったことに強い失望感を示し、ホンダとともに成功できるのかという点について「深刻な懸念」を感じ、いつまでも改善が見られないことで「我々は限界に近付いている」と語った。

 金曜にはブラウンは、来年に向けて「プランB、プランCを用意している」と述べ、ホンダに早急に改善するようプレッシャーをかけるようなコメントを発している。

 マクラーレン・ホンダは第6戦終了時点でノーポイントでランキング最下位に沈んでいる。

 カナダGP金曜記者会見に出席した長谷川総責任者は、アップデートの状況について聞かれ、できるだけ早く導入したいと答えた。
「実際のところ、私たちは通常、(導入の時期について)約束はいたしません。もちろん、エンジンのアップデートはできる限り早く行おうとしていますし、準備ができたら導入します。残念ながらここでは実現しませんでした。日本(のファクトリー)で懸命に作業を行っています。準備でき次第、導入するつもりです」

 次戦かその次に導入するといった見通しはあるのかと聞かれ、「まだ申し上げることはできません。諦めてはいませんが、約束はできません」と長谷川氏は答えている。


「ホンダは方向性を見失って途方に暮れている」というブラウンのコメントについて、英AUTOSPORTに聞かれた長谷川総責任者はそれを否定し、改善のために正しい方向に向けて作業を急ピッチで進めていると語った。

「私たちが正しい方向に進んでいるということを彼らに確信させられずにいるのは残念です。ですが、私たちは方向性を見失っているわけではありません。それは確かです」

「まだ多少時間は必要ではあるものの、私たちは正しいことをしています。開発を促進するため、たくさんのことを行っています。具体的なことを明かすつもりはありませんが」

 ホンダが事態を好転することができるとマクラーレンに納得させるには、「より優れたエンジンを提供する」しか道はないと、長谷川総責任者は語った。

「ホンダはいずれはやれると彼らは考えているかもしれませんが、私たちとしてはそれを証明して彼らに納得してもらう必要があります」


 カナダGPの金曜、マクラーレンのホスピタリティにおいて、長谷川総責任者とブラウンは、最近のブラウンの発言に関して話し合いを行ったという。

 長谷川氏はブラウンの苛立ちに理解を示し、両者は「今もよい関係を保っている」と語った。

「(あのコメントに)驚きはしませんでした。彼が苛立ち、不満を述べたことに驚きはありません」

「私も苛立っており、落胆しています。チームも落胆しています。非常に困難で、タフな状況です」

 マクラーレン側からこういった批判の言葉が出ても、両者は引き続き協力し合っていけるのかと聞かれ、長谷川氏は「そのことに疑いの余地はありません」と断言した。
「私たちはひとつのチームとして強く結びついています」

「今の厳しい状況を一丸となって乗り越えていこうと、私たちは決めました」

「この状況を改善していくため、協力し合って努力していきます」

 ブラウンが、チームには2018年に向けて「プランB、プランC」があると発言したことに関し、長谷川氏は、今の段階でホンダはマクラーレンから、パフォーマンスのポテンシャルを証明するための期限は与えられていないと語った。しかしダイナモ上で結果が見え次第、できるだけ早くアップデートを導入する予定だという。

 金曜、F1のスポーツ面を取り仕切るロス・ブラウンが、BBCに対し、F1としてはホンダを尊重し、「将来に向けて改善するための彼らの努力をサポートするため、何かできるなら、何でもやるつもりだ」と発言した。これについて長谷川氏は、「それは知りませんでしたが、ありがたく思います」と語った。

 ホンダは早急に進歩を果たすため、コンサルタントの力を借りようとしているといわれているが、それについては「私は、外部からの助けを借りたくないと言ったことはありません」と長谷川氏は述べた。 

「そういうことが起きていますが、具体的に誰なのか、明かすつもりはありません」