2017年06月10日 10:23 弁護士ドットコム
歩道に止めておいた自転車が、風にあおられて停止中の車に倒れかかったーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、「もし傷がついてしまったらどうなるのか」と質問が寄せられた。
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投稿者がATMで用事を済ませて戻ってきたところ、自転車が近くに停止していた車のドアに倒れかかっていたという。帰宅後「車に傷つけてしまっていたのではないか」と不安になり戻ったが、既に車はなかったそうだ。
仮に車が傷ついていた場合、何らかの法的責任を問われることになるのだろうか。山田訓敬弁護士に聞いた。
「まず、刑事責任については心配しなくても良いでしょう。車を傷つけてしまった場合には『器物損壊罪』に該当することがあります。しかし、器物損壊罪はわざと(故意に)車を傷つけた場合にのみ成立する犯罪です。
今回のように、歩道に止めていた自転車が風にあおられて転倒し、車を傷つけた場合には、器物損壊罪は成立しません」
では、民事上の責任についてはどうだろうか。
「民事責任については、車に損傷があれば、車の所有者等に対して修理代の支払義務を負う可能性はあります。民事事件の場合、損害を生じさせたことに過失(不注意)があれば、その損害について賠償する責任を負うからです。
ただし、賠償する損害額は、自動車を止めた方の過失も考慮して決めますので、必ずしも損害全額の支払義務を負うことにはなりません」
自転車を止めた側の過失は、どのような点を検討していくのか。
「自転車を止めた側の過失の有無は、『自転車が倒れることにより自動車を傷つけることが予見できたか』(実際のその方が予想したかどうかではなく、一般の人が普通に考えて予見できたかどうか)の点などを検討して決めます。
そして、止めていた歩道の状況としては、
・既に自動車が止まっていたか
・自動車が止まりそうな場所か
・自転車の駐輪の仕方
・駐輪の場所がどのような場所だったか
・当日の風の強さ
これらの事情等を総合的に検討し、自転車を止めた側に予見ができたとなれば、過失が認められることとなります。
自転車を止めた側に過失があった場合は、自動車が止まっていた状況(自動車側の過失)等を考慮して、自転車側と自動車側の過失の割合を決め、支払うべき修理代を決めていくことになるでしょう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山田 訓敬(やまだ・くにたか)弁護士
企業法務を中心に企業のトラブル解決に尽力する一方で、個人の交通事故や遺産相続の分野にも力をいれている。特に交通事故事案では、一人でも多くの被害者のお力になりたいとの思いで有志の弁護士らで福岡交通事故相談ダイヤル(無料)を立ち上げその代表を務めています。交通事故相談ダイヤルはhttp://jikosoudan.info/
事務所名:弁護士法人山田総合法律事務所
事務所URL:https://www.yamaben.com/