6月10日は、天智天皇が日本で初めて時計を作ったことにちなみ、時の記念日とされている。それに伴い、時計メーカーのセイコーホールディングスは全国の10代から60代の男女1200人を対象に、時間に関する意識調査を実施し、9日に結果を発表した。
その結果、「時間に追われている」と感じる人は学生が83.6%、社会人が71.4%と、学生のほうが時間に追われている感覚が強いことが明らかになった。
時間をお金で買う選択肢の有無が、「追われている」感覚の強弱に影響?
調査ではその理由までは明らかになっていないものの、いくつか仮説は立てられる。
社会人はお金で時間を買うことができる。自炊が面倒であれば総菜を購入する選択肢も選べるし、移動手段としてはやや値が張るが、タクシーを使うことだって学生よりは気軽にできる。
しかし学生の多くは社会人より懐が寂しい。節約も兼ね、自力でなんとかするしかないこともままある。時間をお金で買うという選択肢を持っているか否かの違いが、時間に追われている感覚の強さに影響している可能性はある。
また、社会人は仕事と生活の2つを主軸に据えることができるが、学生は勉強にバイト、サークル、就活と、やるべき分野が多岐に渡り、どれも自分でマネジメントする必要がある。限りある時間を自由に切り分けられる分、自律性の高さも必要になる。そうした背景も、社会人と学生で感覚に違いが出た理由かもしれない。
オフタイムとオンタイムの値付け額は、50代を境に逆転
調査では回答者に、「1時間あたりの価値を金額にしたらどの程度になるか」自由に値付けしてもらった。全体では、仕事や家事・勉強をするオンタイムが1時間当たり3669円なのに対し、プライベートなオフタイムは1時間当たり6298円と、オフタイムの価値を高く受け止めている人が多かった。
性別ごとに見ると、女性のオンタイム・オフタイムの価値価格に大きな差はないものの、男性の値付け平均金額は、オフタイムが9123円、オンタイムが4435円と、オフタイムはオンタイムの約2倍の価値がついた。それだけオフタイムが貴重だということを意味しているのだろうか。
興味深いのは50代を境にオンタイムとオフタイムの価値が逆転することだ。10代から40代はオンタイムよりオフタイムを高く値付けしているが、50代はオンタイム4584円、オフタイム3201円、60代はオンタイム3222円、オフタイム2680円と、共にオンタイムのほうが価値を高く評価していた。
50代や60代は年齢上、管理職など責任ある立場にいる人も多い世代だ。他の世代には分からない仕事の楽しみややりがい、価値などを見出しているのかもしれない。
生活の中で足りていないと思う時間を複数回答で聞いたところ、上から順に「睡眠・休憩の時間」(61.7%)、「趣味・遊びの時間」(60.8%)、「ひとりで過ごす時間」(52.7%)と続いた。
時は金なり、とよく言われるが、つい無為に過ごしてしまうという人も多かろう。時の記念日は、日ごろの時間の使い方を振り返る良い機会かもしれない。