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『閃光ライオット』と『未確認フェスティバル』、“10代限定フェス”の歩みからその違いを検証

2017年06月10日 10:03  リアルサウンド

リアルサウンド

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 月曜日から日曜日まで毎日放送されている人気ラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)。“未来の鍵を握るラジオの中の学校”をコンセプトに、2005年より放送をスタート。2017年6月9日現在、Perfume、[Alexandros]、UNISON SQUARE GARDEN、サカナクション、SEKAI NO OWARI、きゃりーぱみゅぱみゅ、LiSAといったアーティストたちが“先生”としてリスナーと交流。また、注目アーティストの新曲がいち早くオンエアされるなど、中高生をメインとした音楽ファン・ラジオリスナーに長く愛され続けている番組だ。


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 その『SCHOOL OF LOCK!』は“10代アーティスト限定音楽フェス”も主催しており、今年で通算10年目を迎える。そのフェスが『閃光ライオット』と『未確認フェスティバル』である。節目を迎える今年の開催を前に、改めて両フェスの歩みを振り返ってみたい。


 『閃光ライオット』は2008年から2014年までに開催された音楽フェス。同フェスへの出演をかけて、デモテープ、スタジオ、ライブハウス審査が行われ、勝ち上がったもののみが東京で行なわれるファイナルステージの舞台に立つことができた。Galileo Galilei、ねごと、片平里菜をはじめ、現在も『閃光ライオット』出身のアーティストが数多く音楽シーンで活躍している。2016年にはBrian the Sun、BURNOUT SYNDROMES、Lenny code fiction(ex.CROMARTY)の3組が相次いでメジャーデビュー。3組とも関西を拠点に活動していたギターロックのバンドで、アニメタイアップのシングル曲でメジャーデビューしている。Brian the Sunが『閃光ライオット2008』の準グランプリ、BURNOUT SYNDROMESが『閃光ライオット2010』の準グランプリ、Lenny code fictionが『閃光ライオット2012』のファイナリストであることから、メジャーデビューが決まったとき「やっと!」と思ったリスナーも少なくはないだろう。


 一方の『未確認フェスティバル』は、『閃光ライオット』の意志を受け継ぎ2015年から始まったフェスで、今年も開催される予定だ。同フェスのキャッチフレーズは「その才能、いまだ未確認。」。そして、閃光ライオットの第2次審査がスタジオ審査だったのに対し、未確認フェスティバルの第2次審査はウェブ審査。つまり1次審査を通過すれば、アーティスト名および楽曲がウェブに公開されるという仕組みだ。キャッチフレーズや審査方法の変更などからは、新たな才能を発掘する目的が強められていることがわかる。その甲斐もあり、開催3年目にしてすでに人気上昇中のバンドを輩出することに成功している。たとえば、『未確認フェスティバル2015』でグランプリを獲得したShout it Outは、2016年にメジャーデビューし、現在多くのライブに出演している。また、同じく『未確認フェスティバル2015』で準グランプリを獲得したリーガルリリーは、今年の7月に2ndミニアルバムを発売、レコ発ツアーも決定している。


 『閃光ライオット』と『未確認フェスティバル』は、同じような趣旨にも見えるが、実際はそれぞれ果たす役割が違うように思う。まず、『閃光ライオット』は「強烈な一瞬の光(閃光)が、暴動(riot=ライオット)する日」であり、思わず切り取って残したくなるような10代の輝きに注目している。もちろん楽曲のメロディや歌詞、演奏力も大事であるが、アーティストの音楽に対する「思い」が重視されるフェスではないだろうか。『閃光ライオット』は、その思いを強く持つアーティストを世に送り出すことで、リスナーに愛され信頼される音楽フェスであり続けたのだ。


 そして『未確認フェスティバル』は、第2次審査までは音源が最も重視されるフェスであり、先ほども述べたが、新たな才能を発掘する目的が強められている。『未確認フェスティバル』は、アーティストたちにとってはリスナーに広く認知される機会、リスナーにとっては新たな音楽と出会える機会が増えるため、双方にとって多くの“可能性”が導かれているフェスである。このように、2つのフェスは果たす役割が異なるが、音楽の道を志す10代にとってどちらも「憧れ」のステージであることは間違いない。


 現在、既に『未確認フェスティバル2017』の第2次審査のウェブ審査が始まっており、第1次審査を通過した103組が公式HPに掲載されている。この103組の中に、これからの音楽シーンを作るアーティストは必ず存在するだろう。なお、投票は6月11日まで受け付けている。これを機に、10代が鳴らす新たな音楽と多くの人が多くの人が出会えることを願っている。(北純子)