スペインのTV局「Movi Star TV」のテクニカルコメンテーター、アルベルト・ファブレガ F1シーズンを転戦していると普段見かけない人との出会いがある。そんな人に、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回はモナコGPでほとんどのスペイン人記者がインディ500へ飛び立つ中でF1を選んだ、スペインのテレビ局「Movi Star TV」のテクニカルコメンテーター、アルベルト・ファブレガだ。
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スペインGPのパドックで、「いったい何人のスペイン・メディアがインディアナポリスへ取材に行くのか?」と、あるスペイン人ジャーナリストに尋ねたところ、「テレビ局のスタッフを除いても、10人を上回るだろう」と答えていた。
果たして、モナコGPに来ていたスペイン人記者の数はテレビ局のスタッフを除いて、2人だけだった。しかも、その2人は記者ではなく、カメラマン。マルカというマドリードに本社がある新聞社の契約カメラマンだった。
そんな中、スペインのテレビ局である「Movi Star TV」と「Antena」はモナコGPに来ていた。Movi Star TVでテクニカルコメンテーターを務めるアルベルト・ファブレガはそのひとりだ。
「じつは私のテレビ局もインディ500に取材に行ってるんだ。スペインの至宝ともいえるフェルナンドが初めてチャレンジするから、スペインのモータースポーツ・ファンはみんな注目しているからね。ただし、スペイン人のほとんどは普段、インディを見ていないから、レースとしてはモナコGPのほうが注目度が高い。そこで私たちのテレビ局は2つのグループに分かれ、インディ500とモナコGPの2つを同時に取材することにしたんだ」
それでは、なぜファブレガはインディ500ではなく、モナコGPを選んだのだろうか?
「私はF1にしか興味がないからさ」
じつはファブレガは2006年と07年にF1チームでメカニックを務めたこともあるF1ボーイなのである。そのチームはスーパーアグリ。その後、ほかのカテゴリーでレース活動を行い、2010年に地元スペインのHRTがF1に参戦することが決定すると、F1の世界にカムバック。
今度はメカニックとしてではなく、スーパーアグリ時代の経験を生かしてチームコーディネーターを務めた。つまり、ファブレガにとって、F1のパドックは旧知の仲がいまも働く自分の庭のような存在なのである。
しかし、インディ500ではその旧知の仲が大活躍した。そう、スーパーアグリ時代の仲間、佐藤琢磨がインディ500を制覇。もちろん、ファブレガにとって、うれしい誤算だったに違いない。