F1シーズンを転戦していると普段見かけない人との出会いがある。そんな人に、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回はニコ・ロズベルグの個人広報を長年務めているゲオルク・ノルテだ。
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初のチャンピオンに輝いた2016年のF1アブダビGPから5日後の12月2日に、電撃引退を発表したロズベルグ。それはチーム関係者のだれもが驚いたように、ロズベルグ本人によって決定された突然の発表だった。
だが、12月2日の引退発表以前にロズベルグは2人にだけ、そのことを伝えていた。ひとりがチームの代表的な存在であるトト・ウォルフ(エグゼクティブディレクター/ビジネス)。そして、個人広報としてロズベルグを長年支え続けてきたゲオルク・ノルテだ。
特にノルテはロズベルグが最初に相談を持ちかけた相手。チャンピオンになった昨年の最終戦のレース翌日の11月28日に知りつつ、沈黙を貫き通した。そのノルテとモナコGP開催中に街中でバッタリ!! しかも、ひとりで。いったい、あなたは何をしにモナコへ来たのか?
「やあ、久しぶり。元気かい? F1グランプリの会場に来たのは、昨年の最終戦以来だからね。ホンダはどうしちゃったんだよ。私が何をしにモナコに来たのかって? そりゃ、ニコのマネージメントだよ。彼はF1を引退したけど、私と彼との関係はいまも継続しているんだ。というのも、ニコはF1を引退したいまもメルセデスのブランド・アンバサダーとして仕事を続けているんだ。メルセデスだけじゃない。高級時計メーカーのIWCとスイスの銀行であるUBSの大使も務めているから、さまざまなイベントに駆り出されて、結構忙しい日々を過ごしているんだ」
ノルテと会った日は、F1モナコGPの休息日である金曜日だった。
「日曜日の午前中に、モナコの街中にあるイベント会場でトークショーが予定されていて、その打ち合わせをしに行くんだ。10時半からだから、よかったら来てよ」
ノルテはロズベルグの個人広報でありながら、自らメディアに出るタイプではないものの、メディアとは私に限らず、皆と良好な関係を築いている人物で、昨年の日本GPの際に立ち寄った京都への小旅行の写真を提供してくれたのも、ノルテだった。
ロズベルグが現役だった昨年までは、決して写真撮影に応じてくれなかったノルテだったが、いまではこのようにポーズを決めてくれた。さらに「セルフィで一緒に撮ろうよ」とリクエストしてきた。ロズベルグ同様、ノルテもF1を離れ、少し弾けた感じがした6カ月ぶりの再会だった。