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F1カナダGP 木曜会見:チームを去るのかと詰問する記者にアロンソも苦笑い「考えるのは夏の後」

2017年06月09日 11:22  AUTOSPORT web

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F1カナダGP木曜会見 フェルナンド・アロンソ
F1第7戦カナダGPの木曜FIA会見の主役は、地元モントリオール出身で初の凱旋レースとなるランス・ストロールかと思いきや、彼が呼ばれたのは第2部のセンターで、パドックの注目を集めたのは第1部のセンターに座ったフェルナンド・アロンソでした。 

 会見場にやって来た本人は壇上に並んだイスに貼られた名前を確認して「え、俺がセンター?」という様子でしたが、なんせインディ500での活躍からの“アメリカ帰り”。司会者もまずはアロンソにインディの話を聞きます。

「F1を欠場して別の世界でゼロからもう一度やるのはとても良い経験になったよ。コンペティティブだったし予選も上手く走れて決勝でもリードできた。とてもハッピーだよ」

 アロンソはインディ参戦をそう語りながらも、今後については「F1で3度目のタイトルを獲ることが最優先であるのに変わりはない」とインディ転向の可能性を否定しました。

 その上で、インディの世界に身を投じてみて感じたレースそのもの以外の違いというものを蕩々と語りました。

「この会見でもそうだけど、今週末の話は全然なくて契約がどうとかアップグレードがどうとか、先のことを見過ぎていて今週末のことがあまりに置き去りにされている。ザック(・ブラウン)がああ言った、トト(・ウォルフ)がこう言った、なんて話ばかりで、今週末のレースに対する興奮みたいなものが忘れられてしまっているんだ」


 つまり、純粋にレースを楽しむインディの世界に較べると、F1はあまりに大きくビジネス面も複雑になりすぎ、純粋な気持ちを忘れているのではないかと感じたようです。

 隣のルイス・ハミルトンもアロンソを見詰めて真剣に耳を傾けている様子。それとも、先日インディ軽視発言が取り沙汰されただけに、そうじゃないとアピールするための真剣なふりでしょうか?

 しかし、質問がジョリオン・パーマーに向くとハミルトンは自らアロンソに話しかけて談笑するなど、アメリカ好きのハミルトンですからインディが気になっていたのは事実のようです。

 新たにF1のオーナーになったリバティ・メディアが年間25戦という方針を打ち出してきたことについて、アロンソは「25戦になったらF1を離れる」と豪語していた意思に変化はないと断言。

「20戦とか21戦でもう充分。25戦や26戦になるとあまりに負荷が大きすぎる。僕くらいのキャリアの立場になると、これ以上レースをやるよりもクオリティオブライフを高めることの方が重要に思えてしまうんだ」

 そう語るアロンソは、注目が集まる来年以降のことについては夏の後に考えると、明言を避けました。

「僕らは勝ちたいんだ。9月の時点で勝てているか、なにかそういう方向に進んでいるなら、僕は残留を決める」


 そう語ったことに対して、なにかとホンダに批判的なBBCのアンドリュー・ベンソン記者が「おそらくそうなると思うしみんなそう思っているが、9月までに勝てていなかったら、本当にチームを去るのか? 今ここで100%断言できるのか?」とかなり強い調子で詰問。

 アロンソはこれに苦笑いしながら「まだ6月だし100%どころか考え始めることさえできないよ。考えるのは夏の後、9月か10月になってからだ。それまでは100%なんてことはない」と答え、ある意味で勝てる状況でなくても100%チームを去ることはないと認めることに。

 最初から最後まで、少し困惑気味のアロンソの木曜会見。ある意味、彼自身が指摘したように純粋なレース以外の面に目を向けすぎているというF1の嫌な面をモロに味わうことになってしまったのでした。