マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエは、ルーキーのストフェル・バンドーンがシーズン序盤に苦労した原因として、ジュニアシングルシーター時代に学んだドライビングスタイルにこだわりすぎたという点を挙げた。
今年からジェンソン・バトンに代わってレギュラードライバーに昇格したバンドーンは、今のところチームメイトのフェルナンド・アロンソと比べて苦戦しており、最初の5戦では予選Q1を突破できなかった。
F1に参戦する前、バンドーンはフォーミュラ4、フォーミュラ・ルノー2.0、GP2でタイトルを獲得し、フォーミュラ・ルノー3.5や日本のスーパーフォーミュラでは複数の勝利を記録した。
F1とは異なり、こういったカテゴリーではシャシーは共通のものが使用されている。ブーリエは、バンドーンがそこで役立ったドライビングスタイルを頑なに貫き過ぎたことが、彼のF1での成績に悪い影響を及ぼしたと考えている。
「こういった(ジュニア)カテゴリーでは、全員が同じマシンに乗っている。だから、そのマシンに合わせて培ったドライビングスタイルを持っているものなのだ」とブーリエは説明した。
「F1は違う。毎週末、新しいウイング、新しいボディワーク、新しいリヤウイング、新しいフロアを導入するから、マシンのバランスが大きく変化する」
「若いころ、キャリアの初期には、その時に乗っているマシンだけに合わせた走りをするよう、言われるが、F1ではもう少しフレキシブルにならなければならない。それは、経験を積んでいくしかない」
「彼は学んでいる。チームは、彼が自然なドライビングスタイルになるように、シャシーやセットアップを変えなければならない。なぜなら、ドライバーごとに自然なスタイルがあるからだ。一方で、彼はそこから抜け出して、違ったドライビングをしようとしている」
マクラーレンは、前戦モナコGPの前にバンドーンを本拠に呼び出した。彼のニーズに対する理解を得ようと、エンジニアグループとの特別な話し合いの場が設けられ、その後、バンドーンのパフォーマンスに改善が見られた。
バンドーンは、モナコの予選Q2終盤にスイミングプールでクラッシュしたものの、初めてQ3に進出するタイムを記録した。
決勝では、マクラーレン・ホンダにとってシーズン初ポイントをつかめる位置を走ったが、セーフティカー後の再スタートの際、セルジオ・ペレスから追い抜きをかけられてクラッシュ、リタイアを喫することになった。
「この数週間、エンジニアたちとの関係を向上するため、またマシンからまさに僕が求めることを得るために、チームと懸命に取り組んできた。それが、良い方向への一歩につながった」と、バンドーン。
「予選の結果は、非常に励みとなった。クラッシュは別として、サーキットに出るたびに、僕らは5位、6位、7位あたりだったから、間違いなくQ3でもそれを繰り返すポテンシャルがあった」
「継続的に進歩している。僕はまだ新参者だから、エンジニアたちとの関係を築いているところだし、速く走るためにマシンから何を引き出せばいいかと理解しようとしている。でも正しい方向に向かっているよ」