WTCC世界ツーリングカー選手権は6月23~25日に行われるポルトガルラウンドで採用する“ジョーカーラップ”について、概要を明らかにした。
WorldRX世界ラリークロス選手権で採用されている“ジョーカーラップ”の導入は、2017年のスポーティングレギュレーションに組み込まれたもの。通常のコーナーより大回りの別ルートを設け、通過義務を課すことでオーバーテイクを促進する狙いがある。
当初は開幕戦のマラケシュラウンドで初導入される予定だったが、コースの制約とモロッコ情勢の不安定さから中止されたため、このポルトガルラウンドがジョーカーラップ初導入となる。
WTCC主催者のフランソワ・リベイロは6月21日のコース視察を前に、ジョーカーラップ導入が決まったことを嬉しく思うと語った。
「ラリークロスでジョーカーラップは、うまく機能している。ヴィラ・レアルでのWTCC公道レースには新たな一面を加えてくれると思う」とリベイロ。
「ドライバーの戦略を発展させるだろうし、コースの走り方も変えてしまうかもしれない」
「もちろん安全面で、我々は妥協しない。FIAやヴィラ・レアルの担当者たちと緊密に連携し、我々が求める水準と、厳密な安全基準の両方を満たすところにジョーカーラップを設定した」
ジョーカーラップはコースの最後のコーナーであるターン26に設定され、ラウンドアバウトからタイトな左~右のシケインを経て、フィニッシュラインに続くホームストレートに合流する。
このジョーカーラップで予想されるロスタイムは約2秒だ。決勝レース中、このジョーカーラップはオープニングから3周目まで通過できない。
各ドライバーにはレース中、1度のジョーカーラップ通過義務が課され、義務を消化しなかった場合、または2回以上ジョーカーラップを通過した場合は、ドライブスルーペナルティが与えられる。
また、ドライバーたちは2度のフリー走行セッション中にジョーカーラップを走行することができる。
4度のWTCCチャンピオンで、ボルボの開発ドライバーを務めるイバン・ミューラーは、ジョーカーラップがチャンピオンシップに「新しい何かを加える」だろうと語った。
「まるでMAC3(チーム対抗のタイムトライアル)みたいだ。皆、『狂気の沙汰だ』とか言うんだ。でもこれは新しい取り組みだね」とミューラー。
「新しいことが導入されて、それによって違いが出てくるのはいいことだ」
「僕たちは新しいことを試していくべきだ。ポジティブで魅力的な要素を取り入れていく必要がある」
なお、最終的にこのジョーカーラップが採用されるかは6月21日に行われるFIAのコースチェックよって判断される。