メルセデスF1チームは今では2017年F1世界選手権の争いにおいて劣勢の立場にあると、メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは述べた。
現世界チャンピオンチームであるメルセデスは、これまでの6戦のうち3戦で優勝、ライバルのフェラーリにコンストラクターズ選手権で17ポイント差をつけられている。
昨年のこの時点では、メルセデスは6戦のうち5戦で優勝し、フェラーリを67ポイント差でリードしていた。
ドライバーズ選手権でセバスチャン・ベッテルはルイス・ハミルトンに25ポイントの差をつけてトップに立っている。メルセデスのノンエグゼクティブチェアマンを務めるニキ・ラウダは最近、ベッテルが少なくとも1回はリタイアしないかぎり、メルセデスがタイトルを獲得することはないと発言した。
現段階のレースの状態からメルセデスが劣勢の立場だと感じるかと尋ねられたウォルフは次のように答えた。「劣勢という概念は気に入っている。なぜなら人々は劣勢にある者が勝つところを見たいと思うからね」
「実際、我々はシーズンの初めから劣勢にあったと考えている」
「正しくタイヤを機能させることができたりできなかったりを繰り返し、週末の間に2人のドライバーと2台のマシンが両方とも適切なパフォーマンスを発揮できるような状況にはなかった」
「ソチではバルテリ(・ボッタス)の並外れたパフォーマンスを目にしたが、ルイスのマシンでは同じパフォーマンスを再現できなかった」
「バルセロナではルイスの並外れたパフォーマンスを見ることができた。この一貫性のなさはシーズンを通して我々に付きまとっている」
「逆に、バルセロナ(でのテスト)でフェラーリのマシンはコースインしてすぐ速さを見せていた。つまり、我々は劣勢にあるということだ」
「我々は(フェラーリに)追いつく必要がある。これが今の時点の現実だ」
メルセデスは、過去数シーズンに持ち合わせていた純粋なパフォーマンス上のアドバンテージをもはや享受していないのと同時に、今年のタイヤ、特にウルトラソフトタイヤをうまく機能させることができずにおり、それが問題の核心になってきている。
フェラーリのSF70Hは幅広い範囲で強さを発揮し、特にタイヤに伝わるエネルギーが少ないコースでその特徴が活かされている。
昨年、2017年用のタイヤテストにはメルセデス、フェラーリ、レッドブルの3チームが参加したが、そのメルセデスがタイヤで苦労しているというのは皮肉なものだ。ウォルフは、「(タイヤテストに参加したことで)利益があったかどうか、私には定かではない」 と述べている。
「結局、どのようにシャシーがタイヤと相互に作用するのかということは複雑なテーマだ」とウォルフ。
「何ダースもの要素が相互に作用してうまく機能したりしなかったりする」
「言い訳を探しているのではないが、他のチームがタイヤからパフォーマンスを引き出せているのに我々はできていない」
「ライバルを見ていると、たとえばレッドブルなどは、ペースの点で大きく劣っていて、1.5秒も遅れている。ところが決勝になると彼らがいいパフォーマンスを発揮しているのがわかる」
「この問題はフェラーリ以外の全チームを悩ませているようだ」
「すべて彼らの手柄だ。彼らにはタイヤとうまく合わせられる頼りになるシャシーがあるんだ」