2017年に登場した新型LMP2マシンは昨年型までと比べてストレートスピードが著しく向上しており、コルベット・レーシングからLM-GTEプロクラスに参戦するオリバー・ギャビンは、今年のル・マン24時間レースは「まるでLMP1マシンが30台走っているようだ」と語った。
6月4日に行われたル・マン公式テストでの最高速ランキング上位はLMP2マシンが独占し、チェティラー・ウィラボア・コルセの47号車ダラーラP217・ギブソンが時速341.3kmというトップスピードをマークした。
オレカ、ダラーラ、オンローク(リジェ)、ライリー/マルチマチックという4つのマニュファクチャラーが製造する新型シャシーと、ギブソンのワンメイクエンジンで構成される2017年のLMP2マシンは、2016年のル・マン公式テストよりも1周あたり約8秒のスピードアップを果たしている。
このような変化を受け、ギャビンはGTドライバーたちはLMP2マシンに抜かれるときはより注意する必要があると考えている。
「今年はLMP1マシンが30台走っているようなものだ。LMP2マシンが(自分たちの後ろから)迫ってくるスピードはLMP1マシンと大きくは変わらないんだ」とギャビンは語る。
「彼らが僕たちのGTマシンに近づいてきて、すぐに抜き去ってくれるならいいけど、集団で迫ってきたらアクシデントが起こるかもしれない。これまで以上に注意する必要があるよ」
「実際にアクシデントは起こるだろうか? 僕は1件や2件の事故は確実に起こると思う。それがレースというものだし、ル・マンの一部だからだ」
■LMP2ドライバーは追い抜きが楽になる
LMP1マシンのトップスピードをマークしたのはプライベーターのバイコレス・レーシングチームが走らせる4号車ENSO CLM P1/01・ニスモで、最高速は時速336.0km。全体の順位では前述の47号車を含む3台のダラーラに次ぐ4番手だった。
一方、LMP1ハイブリッドでは、8号車トヨタTS050ハイブリッドが全5台中トップとなる時速330.8kmを記録したが、全体では14番手となっている。
LMP2マシンはストレートでは速いものの、同クラスのベストタイムはネルソン・パンチアティシがシグナテック・アルピーヌ・マットムートの35号車アルピーヌA470(オレカ07)・ギブソンで出した3分28秒146で、小林可夢偉が7号車トヨタでマークした3分18秒132と比べ、約10秒遅い。
パンチアティシは、マシンがスピードアップしたことによって、ストレートでGTEマシンをキャッチすることが容易となり、LMP2ドライバーはこれまでより楽にトラフィックを処理することができるようになったという。
「トップスピードが昨年よりずっと速くなっているから、GTマシンにすぐに追いつけるようになった。おかげで彼らをオーバーテイクするのがすごく簡単になったんだ」
「しかし、ラップタイムが速くなった分、以前よりも彼らと遭遇する機会も増えるだろう。その点については、うまくやっていく必要があるね」