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ロボレース、6月中に2台目のロボカー登場へ。初レースは11月以降か

2017年06月08日 13:32  AUTOSPORT web

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ロボカーはフォーミュラEパリePrixでデモ走行を実施
フォーミュラEの併催レースとして2017年内の開幕が予定されている『ロボレース』は6月中にも2台目の無人運転レースカー“ロボカー”を製作し、デモンストレーションレース実施に向けた作業を行う方針だ。

 ロボカーは5月20日に行われたパリePrixで、一般のファンの前でデモランを披露。しかし、この際は1台のみの走行でレーシングスピードでの走行はしていない。

 これまでロボレース開催に向けては、ジネッタのLMP3マシンであるG57に電動パワートレインや自動運転コンポーネントを組み込んだ開発車両“Devbot”による開発が進められており、安全対策としてドライバーが乗り込んだ状態で自動運転のテストなども行われてきた。

 ロボレースでチーフテクノロジーオフィサーを務めるブリン・バルカムによれば、同社は「さまざまなことに挑戦している」といい、6月中に2台目のロボカーを製作する予定だという。

 なお、ロボレース開幕戦の開催時期については「ロボレースで行われるコンペティションを、どのレベルで定義するかによる」としている。

「これまでのレースと同じように、グリッド上に10台のマシンを並べてレースをしても、レースは数珠つなぎのまま進行するだろう。ラップタイムにほとんど差は生まれないはずだからね」

「短期的、中長期的なものも含めて、あらゆるレースフォーマットを模索している。まだなにも決まってはいないが、一般道で直面する渋滞のような要素を取り入れたいとは思っている」

「自動運転の技術を競うためには、人工知能(AI)などの限界を押し上げる必要がある。普通のレースで争うパワートレインやシャシー、エアロダイナミクス、タイヤなどではなくね」

「AIがどう状況を認識し、考え、行動するかを競うべきなんだ」


 バルカムは、7月29~30日に行われる2016/17年シーズンのフォーミュラE最終戦モントリオールePrixまでにレースを行うには「スケジュールがタイトだ」とコメント。

 また、2017年11月に行われる予定の2017/18年シーズン開幕戦香港ePrixでの併催も、時間が短すぎるとしている。

 バルカムによれば、現在ロボレースが最優先事項としているのはシリーズに参戦する意志があるエントラントに、自動運転マシンによるレースが技術的に可能であること、そのためのインフラが整っていることを示すことだという。

「今シーズン、我々が取り組むべきなのは、参戦チームを呼び込むべく、車両などの開発を進め、プラットフォームを発展させることだ」

「参戦するチームはAIをプログラミングすることになる。ソフト面でのリスクはチームが背負い、マシンのパフォーマンスレベルを決める。一方、車体などハード面は我々が責任を負う」

「我々はデータを集めており、それを全チームと共有する。彼らはデータを使ってAIのトレーニングやシミュレーション環境の構築を行うことになる」

「だから、我々はロボレースというプラットフォームが稼働していて、チームの受け入れ準備が整っていることを示す必要があるんだ」

 上述したとおり、パリePrixでロボカーが見せた走行スピードはレーシングスピードとは程遠いものだった。しかし、バルカムは、ラップペースはすぐに改善すると自信を覗かせた。

「まずはマシンが状況を把握し、どういったアクションを起こすべきか判断する。速度を出すのか、出さないのかというのも、ひとつのアクションだ。AIは安全なスピードで走れるか判断することになる」

「パリで我々が披露したのは、ロボカーがつねに状況を把握しているということだ。どこにどういった障害物があるのかなどね」

「このあとは人間と同様、限界までプッシュしていくことになる」