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マクラーレンF1、ホンダのアップグレード延期に強い失望と大きな懸念。「限界に近付いている」

2017年06月08日 08:12  AUTOSPORT web

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2017年F1モナコGP ジェンソン・バトン(マクラーレン・ホンダ)
マクラーレンのエグゼクティブディレクター、ザック・ブラウンが、カナダGPでは期待していたパワーユニットのアップグレードがなされないことになったと述べ、大きな失望感を示した。ブラウンは、ホンダに大きな懸念を抱いており、契約を見直す可能性もあると示唆した。

 今週水曜にロイターがブラウンのオフィスでインタビューを行った。このインタビューのなかで、ブラウンは、ホンダからカナダGPではパワーユニットのアップグレードは導入しないことになったとの連絡を受け、明確な今後の予定も示されなかったと述べた。
 最近、ホンダF1プロジェクト総責任者の長谷川祐介氏は、パワーユニットの大規模なアップグレードをカナダGPに持ち込めるかどうかは「非常にタイト」であり、直前に判断を下すと語っていた。

 ホンダと提携して3年目の今年、マクラーレンは、開幕から6戦、いまだにノーポイントでランキング最下位と、チーム史上最悪のシーズンを送っており、このままの状態を続けるわけにはいかないとのチームの思いは強い。

「ホンダは非常に懸命に取り組んでいる。しかし途方に暮れているようだ」とブラウン。

「(モントリオールに)アップグレードは導入されないと、つい最近連絡があった。明確なスケジュールは示されておらず、それを少し心配している。痛みは大きい。いつまでも無為に時を過ごすわけにはいかないのだ」

「我々もドライバーたちも、今回のアップグレードを非常に心待ちにしていた。それだけに導入されないことに大きな失望を感じている。努力が足りないわけではないが、彼らはうまくまとめるのに苦労している」

「執行委員会からは進軍命令が出ている。あと1年、このような年を続けるつもりはない。そう願っている」

「我々の選択肢について詳しい話をするつもりはない。ホンダとともに世界タイトルを獲得したいと思っている。だが、それが達成できるかどうかを、いずれ判断する必要がある。今の我々は、深刻な懸念を抱えている」

「アップグレードが導入されず、アップグレードが、彼らが予想していたレベルに届かない。ただただ時間がかかる。我々は限界に近付いている」

 ブラウンは、来年の新車のプランを立て、アロンソに対して残留を説得する材料を提示するため、今後90日のうちに大きな決断を下す必要があると語った。

「すべてがひとつにまとまるだろう。決断すべき問題は多数あり、『分かれ道に来たとき、どちらに進むか』を決める時期に差し掛かっている」

 ブラウンは、ホンダと独占契約を結んだことは「100パーセント正しかった」との見解を示しているが、今の状態をこれ以上続けていくわけにはいかないと語った。

「しかしながら、今のところうまく機能していない。F1での1年は永遠のように長い。3年ともなると10年に値する。今の状態を永遠に続けていくわけにはいかない」

 ワークス契約を結ばず、カスタマーチームの立場でタイトルを取ることも不可能ではないと、ブラウンは考えている。
「カスタマーエンジンで(タイトルを)取れると思うか? 私は可能だと思っている」


 ホンダはマクラーレンに対して多額の資金を提供しているといわれており、予算の面でマクラーレンがホンダと袂を分かつことはできないと見る向きもある。

 しかしブラウンは、ホンダと組んだこの3年で、分配金が減少し、スポンサーを失ってきたと主張した。
「FOMの(分配金)減少、スポンサーシップの減少を考えれば、ホンダがもたらしている商業的メリットは減少しつつあるといえる」

「いろいろ考えあわせれば、外部から見られるほど大きな商業的メリットではない」

 今季序盤、ホンダのパワーユニットにトラブルが相次いだため、マクラーレンはメルセデスに対し、パワーユニットを提供することが可能かを打診したといわれている。

 ロイターによると、ホンダのスポークスパーソンからのコメントは得られなかったということだ。