6月8~11日に行われるWRC世界ラリー選手権第7戦イタリア・サルディニアに向け、参戦するドライバーたちが意気込みを語った。
ヨーロッパ圏内で行われるグラベル(未舗装路)ラリー2連戦目となるラリー・イタリア・サルディニアは、地中海のイタリア領サルディニア島が戦いの舞台だ。
ラリーは8日(木)夜にイッティリで行われる2kmのスーパーSSで開幕。翌9日(金)から本格的なグラベルラリーがスタートする。9日は島北部でSS2~9の8SSが行われる。
10日(土)も島北部を中心にSS10~15の6SSが実施。その走行距離は143.16kmと大会最長距離に達する。
競技最終日の11日(日)は島北西部でSS16~19の4SSで争われ、最終SS19は上位5台にボーナスポイントが与えられるパワーステージだ。
この時期のサルディニア島は気温30度まで上昇し、また路面も至るところに硬質な岩盤や石が隠れるラフなコンディションで、マシンやドライバー、そしてタイヤにも負荷の掛かるイベントと言える。
最上位クラスは、Mスポーツ、ヒュンダイ、シトロエン、TOYOTA GAZOO Racing WRTの全チームが3台体制で参戦。シトロエンの9号車C3 WRCには、レギュラードライバーであるステファン・ルフェーブルに代わり、元フォルクスワーゲンのワークスドライバー、アンドレアス・ミケルセンが乗り込む。
また、ヒュンダイのヘイデン・パッドンはコドライバーに前戦ポルトガルでコンビを組んだセバスチャン・マーシャルを継続起用。12年に渡りコンビを組んできた大ベテランのジョン・ケナードは当初の予定より早く第1戦を退くこととなった。
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■Mスポーツ
●セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)
「(第6戦)ポルトガルでは、フィエスタWRCに好感触が得られたから、(第7戦)イタリア・サルディニアでも流れを維持したい」
「2017年シーズンも折り返し地点に近づいてきて、チャンピオン争いも熱を帯びてくる。イタリアでの週末はシーズンでもっとも気温が高くなるから、文字通りホットな戦いになるはずだ。暑さへの対策をしておかないといけないね」
「事前テストはラリー・イタリア・サルディニアへ向けたセットアップとクーリング周りのオプションを確認でき、いい結果だった。好成績を残す自信を深めることができたよ」
「競技初日は先頭走者としてコースの“掃除役”を務めなければならないが、サルディニアではいい結果を残してきているし、難しいステージを楽しみながら走ることを学んだ」
「もちろん簡単に勝てるラリーではない。マージンを維持しながら、スタートからフィニッシュまで集中しなくては。タイヤマネジメントも重要になる。特に70キロのステージを2度走る土曜日は、タイヤが大きな影響を与えるかもしれない」
「僕たちの目標は、いつもと同じくポイントリーダーとしてギャップを広げることだ。この目標を強力なパフォーマンスで実現したい」
●オット・タナク(フォード・フィエスタWRC)
「フィエスタWRCのハンドルを握るたびに、マシンについて理解が深まり感触もよくなっていると感じる。特に前戦のポルトガルでは、今年もっともいいセットアップで挑むことができた」
「先日行った事前テストからも、サルディニアにいい雰囲気で挑むことができそうだよ」
「(競技の舞台となる)サルディニア島は2012年に初めて表彰台(総合3位)を獲得した場所だから、特別な思い出がたくさんある。今週末は少なくとも(2012年と)同等の結果を目指していくよ」
「ラリー・イタリア・サルディニアのようなトリッキーなイベントでは、走行中にいろいろなことを想定しなくてはならないから、スタートから100%集中しなければならない。ステージは道幅がとても狭く、なかには高速ステージも存在する」
「つねにドライバーたちを窮地に追い込むものが潜んでいるから、よりマージンを持っておく必要があるんだ」
「さらに今年1番の酷暑にも直面する。タイヤがより摩耗するから、しっかり状況をマネジメントする力も求められる。ただ、事前テストでシチュエーションの想定もできているから、上位を狙えるポジションを狙いたい」
「僕たちのプランはサルディニア島でのラリーを楽しむこと。2017年型WRカーに乗っていれば難しくはないよ」
●エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)
「ラリー・イタリア・サルディニアには、いい思い出がたくさんある。僕が初めてWRカーをドライブした場所で、あの時はマシンから降りたくなかったくらいだ。簡単なラリーではないけど、楽しみながら挑戦できるはずだ」
「今回のようなイベントでは、頭に入れておくべき要素がたくさんある。路面はとてもラフで研磨材のようになっている上、気温も高いんだ。外気温が30度くらいまで上がれば、コクピットの中は50度近くまで上昇するんだ!」
「2017年型マシンでこういった環境に挑むのは初めてだから、どんな展開になるのか様子をみなければならない。もちろん全力を注ぐつもりだけど、過去の結果を見れば分かるように、ラリー・イタリア・サルディニアのようなイベントでは、どんなことでも起こりうる」
■ヒュンダイ/ヒュンダイ・モータースポーツ
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・イタリア・サルディニアには、去年のいい思い出が記憶に残っている。(22カ月ぶり、通算2度目となる総合優勝を獲得)」
「今年は、すでに2回総合優勝しているけど、ラリー・イタリア・サルディニアはテクニカルな要求も大きいから、侮ることはできない」
「ただ、僕たちには自信も希望もあるから、ポジティブな結果を出せると思う」
●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)
「(第6戦)ポルトガルで総合3位表彰台を獲得したことが、僕たちのポテンシャルを示している」
「2017年シーズンの初めから、一貫性のある走りができているから心強い。この自信を基に、次なる挑戦に最高のパフォーマンスで取り組めることを願っているよ」
●ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「(コドライバーをセバスチャン・マーシャルにするという選択は)決してたやすいものではなかった。ただ、この難しい状況では、これがベストな選択肢だと感じていた」
「(第1線を退く)ジョン(・ケナード)は、今後も僕たちのWRCプログラムで重要な役割を担う。セブ(セバスチャン・マーシャル)は一緒に組んだ(第6戦)ポルトガルで素晴らしい仕事をしてくれた。ジョンのサポートを受けて、サルディニアでパートナーシップを築いていくのを楽しみにしているよ」
「ラリー・イタリア・サルディニアの路面は荒れているし、暑い場所だから、マシンにも特に注意を払う必要がある。ここはヨーロッッパでも1番手ごわいラリーのひとつじゃないかな」
■シトロエン/シトロエン・レーシング
●クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)
「(第5戦)アルゼンチンや(第6戦)ポルトガルは残念な結果に終わった。今は勝利した(第3戦)メキシコや、リタイアするまでトップを走っていた(第4戦)ツール・ド・コルスでのポジティブな流れを取り戻すことに集中している」
「去年はラリー・イタリア・サルディニアに参戦しなかったから、サルディニアの戦い方を思い出す必要がありそうだ。ここのステージはドライビング面でも難しい上に路面も滑りやすいから、特に道幅が狭いところでは正確なドライビングが要求される」
「純粋なラリーの観点から言えば、こういうタイプの路面でドライブするのは必ずしも楽しめることではないけど、僕たちは着実な戦いをするために全力を尽くすよ」
「また、アンドレアス(・ミケルセン)をチームに迎えられてよかったと思う。彼は貴重な経験をもたらしてくれるし、ラリーで勝利する可能性も秘めているからね。シトロエンの勝利を確実にするために、ともに頑張っていくよ」
●クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)
「(第5戦)アルゼンチンや(第6戦)ポルトガルのように、僕たちにとってこのラリーは、ほとんどすべてのものが初めてのものだ」
「2016年にはレッキ走行をしたし、数週間前にはテストも行ったけど、このラリーに何年も出場しているドライバーたちと比較すれば、まだまだ足りない」
「経験不足を補い、ライバルに挑戦するために、大会に向けて小さなところも突き詰めた準備をしている。たとえば過去の車載映像を見て、大きな穴が開いている場所や注意するべきセクションを把握しようとしているよ」
「今年参戦した5戦中4戦で総合5位を手にしている。この後に控える(第8戦)ポーランドや(第9戦)フィンランドなど、馴染み深いイベントに取り組む前に、このサルディニアでも同じ結果を出せたら嬉しい」
「アンドレアス(・ミケルセン)には、チームにようこそと伝えたい。お互いにまだよく知らない間柄だけど、彼とラリーを戦うのを楽しみにしているよ」
●アンドレアス・ミケルセン(シトロエンC3 WRC)
「ここ数日は、シトロエン・レーシングの拠点に行き、チームメンバーとミーティングをして、エキサイティングな日々だった。フランス南部でC3 WRCにも乗り込んだしね」
「テストで走った道と、ラリー・イタリア・サルディニアで直面する道は、まったく状況が異なるものだ。それでも、C3 WRCの可能性について、よく理解することができた」
「ダウンフォースやエンジンパワー、それにマシンを走らせる感触はよかった。とても印象に残るマシンだね。僕のドライビングスタイルに適応するようにセットアップを始めたところだ。次の週末に、他のクルー達と比べて、僕たちがどこにつけるかは、まったく想像がつかない」
「競技初日は有利な出走順になるけど、WRCは要求されるレベルが高いから、今の時点で僕たちは状況を軽くみることはできない。手強いラリーになるけど、ベストを尽くすよ」
■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing WRT
●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「ラリー・イタリア・サルディニアへの出場をとても楽しみにしているけど、おそらく(第6戦)ポルトガルよりも暑く、路面が滑りやすく、そして出走順がより大きな影響を及ぼすことになる」
「路面は場所によって非常に硬いため、それほど荒れもせず、またコースを2回目に走行する際もコンディションはそれほど悪くはならない。ただ路面上の石は跳ね飛ばされることなく道の上に留まり続けるから、パンクの可能性が高く、ダンパーにダメージを受ける危険性もあるんだ」
「それを避けるためには、コーナー内側の石に注意して走るなど、ドライビングスタイルを少し変える必要がある」
●ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)
「第5戦アルゼンチンの前にサルディニア島でテストを行なった。かなり前のことだし、今よりも気温は低かったけれど、それでもサルディニアの道に対する理解を深めることができた」
「暑いラリーになるから、タイヤ選択がシンプルになり、あまり迷わなくて済むのはいいことだと思うよ。我々にとって、ラリー・ポルトガルはとてもいいラリーで、多くの学びを得られた」
「だから、今回もクリーンな走りができれば、さらに多くのポイントを獲得できるチャンスがあると考えている。グラベル(未舗装路)ステージでの初日の出走順は僕たちにとって有利に働くはずだから、このアドバンテージを最後まで活用して戦うべきだと心得ている」
●エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)
「ラリー・イタリア・サルディニアはつねに、純粋に速さを競うよりも、リタイアせず生き残ることが重要なイベント。だからトラブルやアクシデントと無縁で最後まで走り切り、フィニッシュすることが目標だよ」
「サルディニアではテストのためにいくつか新しいパーツを装着して走る予定だから、完走してデータをチームに提供することが僕の任務です。ラリー・ポルトガルでの結果を受け、周囲の期待の高まりを感じているけど、僕自身は変わらず自分の任務に集中して臨むよ」
「サルディニアを前にフィンランドで1日テストを行ない、クルマのセットアップに対する理解を深めた。もちろんフィンランドとサルディニアでは条件が違うけど、それでも約150kmを走り、異なるサスペンションのセッティングを試すことができたので、有効なテストだったよ」