2017年06月07日 10:53 弁護士ドットコム
人気タレントの西山茉希さんの所属事務所が、西山さんに給与を支払っていないと報じられた。
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「女性自身」の報道によれば、同誌の取材に対し、西山さんが「2月から、所属事務所のお給料を1円もいただいていない」と明かしたという。一方の所属事務所社長は、TBS系「白熱ライブ ビビット」に電話で出演し、出産、育児のために仕事量が減ったためだと反論をしている。
西山さんとの契約がどのように定められているかは不明だが、事務所との契約を解除することはできるのだろうか。芸能界に詳しい河西邦剛弁護士に聞いた。
今まで、タレントさんと芸能事務所との間で交わされた100通以上の契約書を見てきましたが、芸能プロダクションとタレントとの間で結ばれる専属マネージメント契約では、通常2~3年の契約期間が定められています。途中で辞めた場合の違約金条項が記載されていることすらあります。
すると、「契約期間内は途中で辞めることはできない」と思ってしまうタレントさんも少なくありません。しかし、実はそうではないのです。
よく誤解されますが、「契約書に書いてあることはなんでも有効」というわけではありません。
契約書に記載されている条項も、法律や裁判例に反する部分は無効となります。実際、過去の裁判例を見てみると、芸能プロダクションからタレントにきちんと報酬や給与が支払われていない事例においては、タレントからの解除は認められる傾向が強いです。
西山さんの契約内容はわかりません。ただ、仮に契約期間内であっても、過去の裁判例からいっても、事務所との解除は認められる可能性が高いと思います。
なお、芸能界では度々、このような契約問題が起こります。背景には、日本においては、芸能プロダクションとタレントとの間を直接規律する法律が存在していない問題があります。芸能プロダクション優位の現状の専属マネージメント契約書ではなく、タレントと芸能プロダクションが対等・公平となるような契約書が望まれるでしょう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
「日本エンターテイナーライツ協会」代表理事。主な取扱い案件は、芸能トラブル、エンターテインメント分野、ライブイベントに関する法律分野、知的財産分野(意匠、商標、特許)等。芸能・エンターテインメント分野の統括責任者。多種多様な芸能案件に携わる。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/