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年720時間の残業上限で「過労死ゼロ」実現なるか 厚労省は勤務間インターバルの導入も検討

2017年06月06日 19:02  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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厚生労働省の諮問機関である「労働政策審議会」は6月5日、罰則付きの時間外労働の上限規制について盛り込んだ報告書を塩崎恭久厚生労働大臣に提出した。原則として月45時間、年360時間を上限とすることを提言した。

厚生労働省・労働基準局の担当者は、キャリコネニュースの取材に対して、「現行の労働時間規制には強制力がない。同報告書では罰則付きの強制力がある規制を提言しています」と意義を語った。

「長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にする」

報告書では、

「長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因になっている」

と指摘。「『過労死等ゼロ』を実現するとともに、(中略)ワーク・ライフ・バランスを改善」することが「喫緊の課題」だとした。

現状では、特別条項付きの36協定を結ぶと際限なく働かせることができる。しかし同報告書では、時間外労働について「臨時的な特別の事情がある場合」にも年720時間という上限を設定。たとえ繁忙期だとしても、

・休日労働を含めて1か月で100時間未満に抑えること
・休日労働を含めて2か月もしくは6か月平均で80時間以内とすること
・月45時間を上回るのは年に6回まで

とした。

3月28日に発表された政府の「働き方改革実行計画」でも年720時間の上限を設けていた。しかし上限を超えても、休日であれば働かせることができるのではないかと批判が上がっていた。同報告書は休日の労働を含むことでより厳格な規制を課そうとしている。

タクシーやバスの運転手にも960時間の上限を順次設定

現在は、運送業や土木・建築業で働く人には労働時間の上限が設けられていない。しかし報告書では、これらの仕事にも労働時間の制限を設けるように提言している。タクシーやバスの運転手、トラックドライバーについては、他の業種で罰則付きの規制が施行されてから5年後に年960時間の規制を設ける。建設業についても規制の施行5年後に年720時間の規制を設けるのが適当だという。いずれの場合にも、年360時間に近づけるよう努力することも重要だとした。

研究開発職については、これまで通り上限を設けないが、月100時間を超えた場合には、医師による面接を義務づける。勤務間インターバルの導入も提言。前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定の間隔を確保することを提言した。

厚生労働省の担当者によると、「秋の臨時国会への改正案提出が現実的。施行時期についてはまだ決まっていない」とのことだった。