今季初のダブルヘッダー・イベントとなるGRCグローバル・ラリークロス選手権の第3戦がトンプソン・スピードウェイ・モータースポーツパークで開催され、フォルクスワーゲン・アンドレッティ・ラリークロスのタナー・ファウスト(フォルクスワーゲン・ビートルRXスーパーカー)と、ロエンブロ・モータースポーツのスティーブ・アルピン(フォード・フィエスタRXスーパーカー)がそれぞれ勝利。今季4戦で4人の勝者が誕生することとなった。
アメリカ北東部、ニューイングランド地方コネチカット州のトラックで開催された第3戦は、初日土曜の予選ヒートからフォルクスワーゲン勢が他を圧倒するスピードを披露。
なかでも、2度のチャンピオン獲得経験を持つタナー・ファウストは準決勝でも後続を約3秒引き離してフィニッシュ。その勢いのままファイナルに臨み、7秒ものリードを築いて今季初勝利を飾った。
一方、もう一台のビートルをドライブする2016年の王者、スコット・スピードはフロントロウからのスタートだったが出遅れてしまい中団のパックに巻き込まれる苦しい展開に。
しかしスピードは、10周で争われるファイナルで巧みなペースマネジメントを見せ、終盤には3番手までカムバック。そして最終ラップ目前で前を行くホンダ・レッドブル・オルスバーグMSEのミシェル・デヨング(ホンダ・シビック・クーペ・タイプR)を捉え2番手に浮上。そのままチェッカーをくぐった。
「マシンは速かったんだけど、結局多くのバトルに巻き込まれることになった。でもトラックは最高だったし、チームに大きな結果を持ち帰ることができてよかった」とスピード。
スピードにかわされたデヨングは、なんとかポジションをキープし、ルーキーシーズンで自身初となる3位表彰台に上がった。
日曜も予選ヒートから決勝まで、前日のリピートを見るような展開でファウストが席巻。
ファイナルでも順調にリードを拡大する速さを見せたものの、残り数周のダートセクションでバリアにヒットし、ストップ。まさかの展開で首位に躍り出たのは、アルピンのフィエスタとなった。
「僕らのマシンは今週末、本当に良かったんだ。でも、VWはそれよりほんの少しだけ速かった。だから常に彼らの背後につけてプレッシャーをかけ続け、ジョーカーラップも同時に入ることにした」とアルピン。
「もちろん、彼を捕まえるとか、オーバーテイクできるなんて思っていなかったけどね。でも、そのプレッシャーが効いたのか、彼は少しだけプッシュしすぎたみたいだ」
劇的な展開の末、ロエンブロ・モータースポーツはGRC初優勝をマーク。アルピンにとってもキャリア2勝目となった。
2位に入ったのは終盤までジョーカーを温存したスピードのビートルで、前日のレースに続く連続表彰台。3位には、スピードにジョーカーでの逆転を許すまで2番手を走行していたスバル・ラリーチームUSA、WRX STIに乗るクリス・アトキンソン。
終盤は4位デヨングのシビック・クーペ・タイプRとの日本車対決を抑えきり、スバルに今季初ポディウムをプレゼント。自身にとってもGRC初表彰台となり、チームメイトのパトリック・サンデルも5位に入ったことで、スバルにとっては今後の展望に明るい兆しの差す週末となった。
GRCの第4戦は2週間のインターバルを挟んでカナダに上陸。6月17~18日に、オタワにあるカナダ宇宙航空博物館周辺を舞台にダブルヘッダー戦が行われる。